速報

 緊急暗号通信により突如出来た穴の存在を告げられ鴨南蛮投げつつバイトへ向かい、茫々帰宅した俺に待っていた知らせが二つある。良い知らせと良い知らせなのだがいずれが宜しいか。よし、同時に記す。

 イルミネーションに対する我が同朋得たり。

 明日のバイトに我が女神が御自ら足を運ばれるとの情報有り。

 ……よもや昨日という日にこれ程の奇跡を授かろうとは。返事は暫し待たれよ。


Dec 8th
隣から

 陽気な音楽が聞こえる。野太い野郎の声と乙女の声が合わさり、混沌としている。
 SAN値とは何ぞや。取り敢えず、危機的状況らしいが彼はどのような危険にも動じない強者である。ただの大学生の俺は関わらない方が良いだろう。
 ……後で即席鴨南蛮でも放り込んでおくかな。


Dec 7th
いまなんじ

今4時だ。
寝なねば。ねばねば?
眠ろう!


Dec 7th
イルミネーション

 休憩中である。
 窓の外、バイト先の風景が些か眩しい。癒やしの緑色であるはずの光が目に痛く、クリスマスにまた見にこよーねーの明るく可愛らしい声が心にどんどん靄を齎す、あと外は寒い。何故。俺に此処までのダメージを与えて尚、輝く必要はあるのだろうか。そこまできんきらきんに煌びやかにする必要性があるのか! 否! 通行人の皆さんもクリスマスだから、と遠慮して声を上げられないでいるのでは? 俺は愚考する。
 と、言うことでこれを来週のディスカッションのテーマにしようと思う。

『女神不在の休日に意味はあるか』

 課題が終わらない。


Dec 6th
ハレールヤー

 須く、須く。相応しいモノに相応しいモノを。控えるクリスマスに祝福を、紳士淑女に優美な拍手をふらせましょうぞ――故に、私には麗しい彼の女神を! 一目で良い。その御姿を! クリスマスには! 叶うならば拝謁し御言葉も頂戴致したく! いかがですかあああてんちょおおお(以降絶叫)

「なあなあ、聞いてくれよ、ジョンソン。今家の前で変な外人がテンチョーとか叫んでたんだけど、どうすれば良いと思う?」
「ワーオ、そいつは変態に違いない。ポリスに通報するしかないな!」
「そうだよなー、サンクス、ニック!」

 ストーップ! 待った、待ちたまえ! たんまだ! 俺は変態ではないし、ここはアメリカでもない。日本の西の都だ。しかもニックはお前だろう。ついでにジョンソンもお前だ、遂に耄碌したかジョンソン。

「ワタシニホンゴワカリマセーン」

 宜しい、ならば今日の飯は蕎麦だ。

「唐突に暴走したキミが悪い。おれは鴨鍋食べたいYO」

 悪くない。暴走してない。大体これは俺の表にはさらけ出せない繊細な心の機微を綴る日記であってお前のネタ帳では断じてないぞ。鴨鍋却下だ。俺の懐事情を知っている筈だろうに、阿呆め。

「あ、アニメハジマター!」

 おい。中途半端な所で放るな!
 ……水沼だ。皆々様お初にお目にかかる。ジョンソンはたまに顔を出す位でいつもはもう少し落ち着いた雰囲気になる筈だがあいつも含めてこれから宜しく。良ければ、だな、コイゴコロに関して御教授も頂けたら、あれだ、幸甚であったりなかったり、いや、助かります。



「ん? おれのクリスマスは先週からシカゴへ出掛けたよ。でもイブは恋人とデートの約束さ!」

 おい、パーソナルコンピューターの液晶画面割るなよ、現実を見るんだジョンソン。


Dec 6th
 


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