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連載主とマルコnew

2011/09/12 04:16

「熱帯夜…」

あまりの蒸し暑さに、おれはベッドに寝転がったままぼそりと呟いた。自覚したせいでなんとなく部屋の蒸し暑さが増した気がして、言わなければよかった…、と今更どうしようもないことを思う。
それにしたって暑い。
肌にくっつくシャツが気持ち悪い。
このままではまた寝るのは不可能に近い、と汗だくのシャツを脱ぐ。ついでに水でも飲もうと蒸し暑い部屋を出る。廊下は部屋よりも多少涼しい気がした。
ここなら意外と快適に寝れそうだな、と普段なら絶対考えないようなことを考えながら食堂に向かう。
それなりに通気性は考えられて作られているだろうが、所詮は船だ。蒸すに決まってる。大部屋なんかは地獄だろう。様子を見に行くまでもない。しかし暑いな。

「…ん?」

暑い暑い思いながら歩いていると、なにやら黒い塊のようなものが廊下の端にいる気がして足を止めた。廊下が暗いせいでよくわからないが、誰かが置き忘れた荷物かなんかだろうか。

「…お前」

よく目を凝らしてみれば、それはチビ助で、くうくうと気持ち良さそうに寝ている。
実はこんなところでチビ助が寝ているのははじめてのことではなく、今日のように暑い夜なんかは部屋を抜け出して少しでも涼しいところを見つけてそこで寝こける。危ないからやめろと再三注意したのに…、とため息をついてもチビ助の呑気な寝顔は崩れない。

「チビ助」

「…」

「おい…」

やっぱり起きない。
仕方なく抱き上げると、涼しいここで寝ていたせいかひんやりとしている。これはいいかもしれない。
チビ助を抱えてスタスタと部屋に戻り、一緒にベッドに転がった。そんなことをしている間もチビ助がまったく起きないのは、信頼されてるのかなんなのか…。ともかく、ちょっといつもより冷やっこいチビ助を抱き込むとこれがなかなか快適だった。
おれは水を飲もうとしていたことなんぞすっかり忘れて、チビ助を抱きしめて目を閉じた。

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