生徒に押し切られて10年ぶりにセックスする話

放課後、職員室で雑務を終えてから教室に戻る。

授業を淡々とこなし、誰もいない教室でゆっくりとプリントを作ったり、テストの採点をしたりして、誰もいない家に帰って寝る。毎日これの繰り返しだ。定年まで残り約二十年程度、毎日、帰宅して部屋の電気を自分でつけなければならないのだと思うと辛いが、だからといってどうすることができるだろう。
女性との縁談なら親や親戚から来ることもあるが、どうしても受け入れられなかった。とはいえ、男性の恋人はもうずっといない。

教室には、珍しくひとりだけ生徒が残っていた。
西島新多。
期末試験の成績は学年一位で、教師からはやくも有名な国立大学の受験を勧められている成績優秀な生徒だ。うちの高校では誰も合格したことのない程の難関大学だが、彼の成績では入学も夢ではないらしい。バスケ部に所属していて、特別な才があるわけではないが文武両道と言っても差し支えない腕前はあった。顔立ちも整っており、切れ長の涼しい目と高い鼻が魅力的で、どこを取っても欠点のなさそうな美少年だ。

西島は、静かに本を読んでいた。モリエールのドン・ジュアン。誰もいない教室でドン・ジュアンを読んでいることは、どことなく彼を浮世離れした感じにさせた。もちろん戯曲を読む生徒も孤独を好む生徒もいるが、あの文武両道の美少年が、ひとりきりの教室で戯曲を読んでいるという事象は映画のワンシーンのように見えた。外には雨が降っていて、それが余計に西島のいる光景を美しく見せていた。

「飯田先生」

漸く僕の存在に気づいたのか、名前を呼ばれる。

「出て行ったほうがいいですか?」
「いや、このままで構わない」

西島は本に栞を挟み、僕の方に視線を寄せた。綺麗に整えられた黒髪が蛍光灯の光を反射して光っている。

「読んでいていいのに」
「俺、先生と話したいことがあったんです」
「授業のことで質問が?」
「そういう感じですね」

僕は西島の隣に座り、ノートパソコンを開いた。プリントは自分のパソコンで作り、学校で印刷することにしている。今から作るのは古文のプリントだが、今年は西島のクラスには現代文を教えている。

「作業しながらでいいなら聞くよ」

西島は、シャツのボタンを一番上だけ外していて、布地の間から少し日焼けした肌が見えた。
生徒に僅かでも性欲を抱くのはあまりいい傾向ではないな、と僕は手元のキーボードに視線を移した。別段興奮したというのではないが、男の体を意識したのは事実だ。

「先生はどういう本が好きですか?」
「僕のこと?」
「飯田薫先生以外に、誰がいるって言うんですか?」
「よくフルネームを覚えてるな」

かおる、なんて実家の父にしか言われない。母には、未だにかおくんと言われている。

「多分ね、いちばん読んでるのは学術書じゃないかな、大学教授が書いてるような。学生時代は、それこそ文学しか読んでいなかったけれど」
「文学ってどんな?」
「色々だよ、国文学もそうだし、海外文学もだ。戯曲も少しは読んだよ、モリエールとか、チェーホフとか、イプセンとか、シラーとかさ。僕は演劇部だったから」
「演劇部では何をしていたんですか?」
「いや、だいたい裏方だけど……」

矢継ぎ早に質問をしてくる。
若い女教師のことが気になるならまだ分かるが、僕のような中年教師のそんな話を聞いて、面白いだろうか。生徒から特に慕われているわけでもないのに。

「先生、辟易しないでください。先生のことが知りたいだけなんです。先生は授業中もホームルームでも、自分の話は殆どしないじゃないですか。俺は先生の年齢すら知らないんですよ」
「四十四だよ」
「奥さんはいらっしゃるんですか?」
「独身だし、そういう相手もいない」

おとなしい西島がそういう話をしてくるのは意外だった。だが、西島といえ若い男子校生だから、そういうことが気になる年頃なのかもしれない。

「初めて彼女が出来たのはいつですか」
「大学一年生の時。どうしてそんなことを聞くんだ」

初めての恋人は女性だった。同じ学部のおとなしい生徒で、関係はすぐに終わった。僕は女性と恋愛というものをしないのだと、その時初めて思ったのだ。
初めての彼氏は大学二年生の夏、サークルの先輩だった。先輩は散々僕の純情をもてあそんだあとに彼女を作って結婚した。そんなことを西島に言うつもりはない。

「童貞を捨てたのは?」
「あのな、申し訳ないけど、そういう話はあんまり生徒にしないことにしてるんだよ」
「内緒にしますよ」
「そういう問題じゃないんだ」

プリントは全然作れなかった。いかに頭を働かせずにキーボードを打てるかというゲームのようになっていた。あの西島がこの手の質問をしてくることは想定していなかったから、僕の頭はいささか混乱していたのだ。

「もしかして恋愛のことで悩んでいるのか?」

僕はワードに源氏物語を打つのを諦めてそう言った。
この年頃なら恋人ができてもおかしくないが、西島は素行が良い生徒だから、彼女を作るとかセックスをすることに逡巡しているのかもしれない。そういった悩みを身近な大人に尋ねるのはおかしいこととは言えなかった。僕はあまり生徒と親しくならないが、一応西島のクラスの副担任なのだ。

「そうです。恋愛の悩みを聞いて欲しいんです」
「僕に聞いてもいい答えは出せそうにないよ。もっと若い教師のほうが、君くらいの年頃の感覚と合っているんじゃないか」

西島は椅子を引いて、僕の真隣に来た。

「先生、変わった話し方をしますよね。まるで演劇の台本を読んでいるみたいだ。もう少し本音で話してくれませんか?」
「参ったな、そんなふうに言われると困るよ」

僕は一瞬だけ黙ってから、もう一度口を開いた。

「この歳で独身の僕なんかに恋愛相談をしても、いい結果は得られないよ」
「飯田先生じゃないとダメなんです。すごく恥ずかしくて」
「……聞いてあげるけど、期待はするなよ」

僕は西島の方に向き直った。
西島の視線は、未だ雨が打ち付けられる窓に行き、消し残しの目立つ黒板に行き、ようやく、僕の目元にきた。涼しい切れ長の目の奥に、分厚い黒ぶちの眼鏡をかけた、ボサボサの髪の男が映っている。

「俺、飯田先生が好きなんですけど、どうすればいいですか?」
「……ど、どう」

思わず言葉が詰まった。西島は照れたような顔をしていて、冗談など言うそぶりではなかった。
どうすればいいかなんて僕も知らない。教えて欲しいくらいだ。

「ぼ、僕は四十四だよ?」
「それ、さっきも聞きました」
「男だよ」
「見ればわかりますよ」

僕は混乱した。西島のような容姿端麗の若い男の子が僕のことを好きだなんていうのは、僕の理解の範疇を容易く超えていたのだ。

「あのな、に、西島君、こういうことは言うべきじゃないんだよ、本当は」
「飯田先生、俺は器用な人間じゃないんですよ。案外実直なんです」

その割には平然としている。
西島に、ある意味では子供らしい素直な言葉を言われて、無視できるほど僕は経験を積んだわけではない。戸惑うのは、そのぶん無駄な期待をしているからだ。自分の立場や年齢なんて、西島を前にしたら僕は考えられなくなってしまう。頭の隅では、そんなことはダメなんだと分かっていても。

「俺みたいなガキは嫌ですか?」
「そういう問題じゃない。ぼ、僕は、君みたいなカッコいい男の子にそんなこと言われて、振り切れるほど大人じゃないんだ」
「良いですよ、振り切らなくて。俺はその方が嬉しいな」

西島は自分の膝を、僕の太ももに擦り付けて上目遣いで見つめてくる。日に焼けた頬が赤かった。西島は、少なくとも僕には、手練れているように見えた。

「ずるいよ、大人をからかったりして」
「からかってないです」
「ぼ、僕、本気にするよ」
「俺はもとから本気ですよ、先生」

そう言うと、西島は猫のように目を細めて、優しく口づけをした。僕の下唇から舌、歯列を舌でなぞり、両唇で食む。重ねられた手はひどく熱く、じっとりと湿っていた。

「に、西島君。誰かに見つかったら」
「誰も来ませんよ」

西島の瞳は虚ろだった。下唇から粘り気のあるヨダレが伸び、どこかしらで途切れていた。
僕はある程度教師としての体裁を保つつもりだったが、よく考えたらそれはあまり意味のないことだった。そういう点では、西島の方が随分賢かった。

「先生の家、行っちゃダメですか?」

西島のじっとりした大きな手のひらが、滑るように、僕の内腿を布越しになぞった。不思議なことに、他人の手のひらを意識すると体は敏感になる。

「そんなこと言われたら、断れないだろ……」
「先生、可愛いですね」

そう言うと、西島は僕の耳にキスをした。



西島は、偶然を装いながら僕と同じ駅で降り、少しだけ間を開けて歩いた。一言も喋らなかった。だから僕はその間に、西島とのあの時間は幻なんじゃないかと思えてきていて、当然のように僕のマンションに入ってきたときには心臓が軽く飛び跳ねた。

「ご、ごめんね、部屋汚くて」
「先生、トランクス派なんですね」
「あ、それ、は、ちょっと、恥ずかしい、見ないで」

西島は部屋に入るなり、部屋干ししてある服に目を向けた。今日は午後から雨の予報だったから、出かける前に部屋に入れておいたのだ。
服はいつもスーツだから、それ以外は靴下とパンツばかりだ。靴下は当たり前だが、パンツも地味な色が多い。あんまり服に気を使えないのだ。

「いつもこういうの履いてるんだ」
「そっ、そりゃそうだろ、干してあるんだから」
「ふふ、俺、興奮してきちゃいましたよ」

男子校生が、四十代の男の下着を見て興奮するなんておかしいと思う。でも、西島は本気だった。
西島はカーテンを閉め、暗い部屋の中で僕にキスをした。今度は軽いキスだった。

「僕なんかに興奮するの?」
「当たり前でしょ。俺、先生でオナニーしちゃったこともあるんですよ」

上気した頬を僕の頬に擦り付けながら呟く。十代らしい赤裸々な告白に、思わず僕の方も照れ臭くなってしまう。

「先生も、オナニーとかするんですか?」
「え、あ、うん、週に一、二度くらいは……」
「どんなふうに?」
「ど、どんなふうに、って、AV見ながら……」
「AV見ながらここ触るの?」

西島は僕の股間を何度も遠慮なく摩った。思わず腰が砕けそうになる。恥ずかしいが、久しぶりの刺激だから仕方がない。

「先生はどういうAVが好きですか?やっぱり男にいじめられるのが好き?」
「な、なんでそんなこと分かるの!」
「本当にそうなんですか?へえ、先生ってマゾなんだな」

そう言うと、西島は、ふーっ、と熱い吐息を僕の耳にかけた。本当に勘で言ったのか、なんとなく気づいていたのかも分からない。
西島は、目に見えて分かるほど勃起していた。それを見ると、僕はもうどうしたらいいのか分からないくらい体が熱くなってきてしまった。年甲斐もなく。

「先生、俺のも触って」

鳥がさえずるような綺麗な声で西島は呟いた。僕はなんと言えばいいのか分からなくて、黙って、そっと目を逸らしながら西島の膨らんだ股間に触れた。
抵抗のようにそれはあった。僕が自分以外のチンポに触ったのなんて、実に十年ぶりだと思う。

「す、すごく大きいね、西島君の」
「そうですか?自分では分からないな」
「お、大きいよ。興奮しちゃうな……」

僕が言うと、西島はなんだか勝ち誇ったような顔で僕のグシャグシャの髪を撫ぜた。

「先生、可愛い。見かけによらずスケベなんですね」
「そ、それほどじゃないよ……、ただ、久しぶりだから」
「久しぶりだから、生徒のデカチンで興奮しちゃうんですか?」
「あっ、あ、あ、はふ、んんん……」

興奮して腰が抜けてしまった。ぺたん、と地面にへたり込んだ僕を見て、西島は驚いた顔をしている。

「すごいな、もう出来上がっちゃったんですか」
「あ、だって、その、あ……」
「先生、立って下さいよ。それとも床の上でやるんですか?犬の交尾じゃないんだから」
「んぅ……」

腰が砕けたままの僕を、西島はひょいと抱え上げてしまった。しかも、片腕を背中、片腕を膕に回して。今更、『お姫様抱っこ』をされるなんて思いもよらなかった。

「先生、軽くないですか?ちゃんと食べてます?」
「た、食べてるよ。それより、早くおろして……」

僕の部屋には寝室といえるものはなく、部屋の隅に、シングルベッドがぽつんと置いてある。西島はそこに僕を優しく下ろすと、自分もそこに乗った。ふたりで乗ると本当にきつかった。
西島は、身長だけでなく体つきも大きくがっしりとしていて、上から見下ろされると、僕の二倍はあるんじゃないかと思えた。

「先生、おねだりして下さいよ」
「お、おねだり……。ん、……え、エッチ、しよう……?こ、これで、いい?」

西島に正面から抱きついて言うと、西島の体は、ビクッ、と跳ねた。大きなチンポが服を押し上げるように隆起している。

「俺、初めてなんですけど、それでもいい?」
「童貞ってこと?」

僕が尋ねると、西島はこくん、と頷いた。

「西島君の初めて貰えるの?」

この歳になって、十代の男の子の童貞が貰えるなんて思わなかった。

「僕でよければ、西島君の童貞貰ってあげるよ」
「えへへ……、もう俺の、限界ですよ」

そう言うと西島は、僕の手を取って布越しにチンポに触れさせた。服を隔ててもその熱さが分かる。

「ほら、先生の大好きなデカチンですよ」
「あ、あぅ……、だ、出しても良い?西島君のチンポ見たいよぉ……」
「構いませんけど」

制服のベルトを外し、チャックを開けてパンツを下ろすと、布越しに触った通りの巨根だった。太くて、カリの部分が膨らんでいて逞しい。惚れ惚れしてじーっと見つめていると、西島は僕の頬を指でさすった。鳥の羽根のような柔らかい手つきだ。

「いつもの先生はどこ行っちゃったんですか?これじゃただの淫乱だ」
「あ、あっ、淫乱な先生でごめんな……」
「ごめんねなんて思ってないでしょ。チンポ見つめながら謝罪されても伝わらないよ」
「そ、そんな意地悪言うなよ」

西島はニヤリと笑って、僕のシャツのボタンを外し始めた。僕は目の前の男の子にされるがままになりながら、視線をどこにやったら良いかで迷っていた。

「意地悪言われるのイヤなんですか?違うでしょ、意地悪言われたら興奮しちゃうんでしょ?」
「あっ、あう」
「ちゃんと言って、薫」
「あ、あう、あ、あ、は、んゃ」
「か、お、る」

口の中に指を入れられる。歳が離れた男の子に性的に弄ばれるのは恥ずかしかったが、若い時に戻ったみたいで興奮してしまった。

「意地悪されるの好きでしょ、薫は?」
「うっ、うぅ、しゅき、いひわうさえうとひもひよふなっひゃう……、ほめんらはいっ」
「いいですよ。でも、俺の前でだけにして下さいね」

指を抜かれ、上着を全部脱がされる。
筋肉が落ちて肉がついただらしない白い腹や、柔らかいペタンコの胸を見られると、気後れしてしまう。ベルトを締めた上に、肉がだぷっと乗っかっている。

「あ、あんまり見るなよ。恥ずかしい……」
「どうしてですか?俺も脱いだほうがいい?」

西島は苦笑しながらシャツを脱ぎ始めた。日焼けして筋肉のついた西島の裸は思わずポーッと見入ってしまうくらいセクシーだ。自分と比べると悲しくなってくるが……。

「俺の裸、そんなに興奮しますか?」
「当たり前だろ、西島君、すごくいい体してるんだから」
「そうかな。素直に嬉しいです」

そう言うと、西島は僕の胸を優しく触った。ぷにぷに、と頬っぺたを突くように弾力を確かめたり、女の子の胸みたいに揉んでみたり、いろんなやり方で弄ぶ。直接的な快楽ではないにせよ、体がジンジンと熱くなっていくのがわかる。

「んん、あ、あ、やっ」
「乳首が勃起してますよ。かわいいな」

チュッ、と赤ちゃんみたいに乳首に吸い付かれる。体中に電流が走ったみたいな刺激が流れて、僕は思わず背中を仰け反らせた。

「あんっ、あ、あーっ!あ、あ、あふ」
「声大きいですよ。そんなに乳首気持ちいいの?」
「き、気持ちいッ、あ、あ、んんん」
「どこがか、ちゃんとはっきり言わなきゃダメでしょう」
「ちくび、ちくびきもちいいっ!あ、んはぁっ、あッ」
「すごいですね。乳首でこんなに感じちゃうんだ」

随分昔に、薫はビンカンすぎるとか、モロ感だとか言われたこともあったが、まさかこんな歳になってまでそれで悶えるとは思ってもみなかった。それどころか、久しぶりだからか若い頃よりも感じている気がする。

「脚開いてきてますよ。おちんちんも触って欲しい?」
「うん……、……おちんちん、触って」
「いい子だね」

いい子だね、なんて言葉は、本当であれば僕が言う立場のはずだ。
西島は楽しそうにベルトを外し、チャックを下ろすとズリズリとパンツごと脱がせ始めた。

「先生のおちんちん、小さくてかわいいですね」
「は、はふ……、ほ、褒めてないよ、それ」
「褒めてるつもりないですよ」

そう言うと、西島は僕の首筋に優しく噛み付き、そっとチンポを扱いた。西島の唇は首筋から鎖骨にいき、また乳首に戻った。甘噛みしたり、優しく舐めたり口付けたりされるたびに、僕はひどく大きな声で喘いだ。

「きもちいッ……、あっ、あっ」
「どこが気持ちいいんですか?ちゃんと言ってください」
「乳首も、ちんぽも気持ちいい……」

チンポはもうビンビンに勃起して、先っぽからは汁がトロトロと垂れていたが、西島のと比べるとすごく小さかった。

「ね、ねぇ、西島、君ッ」
「どうしたんですか?」
「ケツの穴もいじりたい……、いい?」
「いいですよ」

僕の部屋にはローションが置いてある。ずっとオナニーの為に使っていたものだ。オナニーといってもだいたいチンチンに垂らしてしごくだけで、あんまりお尻をいじるのには使っていなかった。
脚を思いっきり開き、ローションで指を濡らしてからケツ穴に触れる。少し怖かったが、先っぽを入れて無理やり開くと、指は案外スルスルと入り始めた。

「く、ん、ん……」

圧迫感で無意識に声が漏れる。西島は、苦しそうな表情の僕を見て、再び乳首を舐めながらチンポを扱き始めた。西島の舌や指を感じると、ケツ穴は少し緩んだように感じられた。

「あ、あぐぅ……、んッ、んん……」
「薫、俺がやってもいい?」
「え、西島君が、僕のここに触るの?」
「俺の指じゃやだ?」
「は、恥ずかしいよ」

僕の言葉を無視して、西島はローションを手に垂らし、俺の穴にその長くて綺麗な指を入れた。
西島の指は、僕の指とはだいぶ違った。何が違うのか正確には分からないが、他人に触られている感覚というものが皮膚の周りにまとわりついているような気がした。自分で触るよりも明確で、快感だった。

「ふ、んんん……、あ、あッ、あ、あうっ!くっ、くふぅうううう……」
「すごく気持ち良さそうな声出てる」
「ふ、ふぅん、はふぅうっ」

空いた手で西島のチンポを握ると、西島は照れ臭そうに、あぁ……、と吐息を漏らした。それから、僕の頬やおでこ、唇にキスをした。
そのまま扱き続けていると、西島はローションを継ぎ足して、入れる指を増やした。ぎこちない動きではあったけれど、入れたまま指をくいくいと動かされると、もう言葉にならないほど気持ちよくて、僕は無意識にヨダレを垂らしていた。西島は、年上の男が惚けた顔で喘ぎながらヨダレを垂らしているのに驚いただろうと思う。でも、四十四でもセックスが気持ちよくてヨダレを垂らすことはあるのだ。

「う、あおっ、ん、ん、んぐぅッ、ふ、ふう」
「そんなにここが気持ちいいの?」
「おひりきもひぃいの、ぼくのおひり、おまんこになっひゃう……」
「はぁ、本当にいやらしい先生だな」

西島は呆れたように言った。
西島の大きなチンポは、僕がしごくたびにビクビク動いたり、先っぽから汁を垂らしたりした。これをお尻に入れたらどんなに気持ちいいだろうと思う。想像しただけで腰が揺れてしまう。

「にっ、にひ、にしじま、くん」
「今度はどうしたんですか?」
「このおチンポ、ほひぃ、僕のおひりにほしいれす、いい?」
「俺のチンポ、先生のこのとろとろのケツマンコに突っ込んで欲しいんですか?」
「はひ、はひ」

西島はしばらく考えた後、

「俺、ゴム持ってないんです」

と申し訳なさそうに言った。
僕も長い間セックスをしていないから、コンドームは家になかった。数年前、掃除をしていたら期限切れのコンドームがあって、それを捨てたのが最後だったと思う。

「僕もないよ、どうしよう」
「どうしてもしたいの?」
「したい、もう我慢できないよ」
「じゃあ、買ってきます」
「えっ、でも」
「俺も薫の中に入れたいし」

僕は、歳下の男の子に駄々をこねたことが急に恥ずかしくなってしまったが、西島の欲望のことを言われると、どうしようもなくなってしまった。
たぶん僕はワガママを言うしかなかったし、西島も僕のワガママを聞くしかなかったと思う。

「すぐに戻ってくるから、いい子で待ってて下さいね」
「う、うん……」

西島は服を着ると、本当に部屋を出て行ってしまった。制服のままコンドームを買うのはあまり良くないように感じられたが、僕はこんな状態だし、それは致し方ないと思う。いちばん近いコンビニはここから歩いて 五分くらいだから、買っている時間も考慮して、おそらく十五分ぐらいで帰ってくるはずだ。

無理やり勃起を沈めながら制服を着る西島を見ていると不思議なエロスを感じたが、そんなことは、西島にいちいち報告しなかった。



西島がいなくなると、惚けていた頭が少しずつ働き始めた。生徒とあんなことを、というのはもう置いておいて、十年もアナルセックスをしていない僕のケツに、あんな大きい西島のチンポが入るだろうかと不安になってくる。
僕は部屋を漁って、ずっと昔に買ったディルドを取り出した。買ったはいいが、一度も使わなかったものだ。西島が帰ってくるまでにこれで練習しよう、と僕は考えた。
ローションをディルドに滅茶苦茶に垂らし、ケツ穴を指で適当にほぐす。コンドームがないので一瞬躊躇われたが、汚れたら洗うか捨てればいいや、と思って、ディルドの先っぽをケツ穴に当てた。

「ふーっ……」

息を吐きながら、ディルドを少しずつ奥に挿入していく。西島の二本の指を合わせたより太いそれは、それでもゆっくりと僕のケツ穴を割り裂いて入り込んでいった。苦しくて、少し痛い気もするが、圧迫されているだけで、切れるような痛みはなかった。

「んぃっ、い、あ、あぐぅ……」

押し込むと、じわっと汗が出てきた。久しぶりのケツ穴への刺激に、体が戸惑っているのかもしれない。俺はふう、ふう、と深呼吸をしながら、ゆっくりとディルドを入れたり、出したりを繰り返した。そのうち、少しずつ刺激に慣れてきたのか体がじんわりと熱くなり、内側からだんだんと気持ちよくなってきたように感じられた。

「あ、あおっ……!はへえ、ふぃ、ふーっ、ふう」

もっと気持ちよくなりたい、と思うが、自分の手では限界がある。疲れてしまって一旦手を離すと、ディルドは容易に抜けてしまった。

「あ、あん……」

拾って再び入れようとすると、そのタイミングで西島が帰ってきた。洗面台で手を洗っている音が聞こえる間にディルドをしまおうとしたが、慌てていたせいでベッドの隅に置かれていた西島のカバンを落としてしまった。西島のカバンから小説やらノートやらが出てきたのを、急いで中に戻す。それで、西島が部屋に戻るまで、ディルドはベッドに放置されたままだった。

「かおる」
「あっ……」
「我慢できなかったの?」
「こ、これは、……ご、ごめんなさい」

理由を説明しようとしたが、『我慢できなくてオナニーをした』ということのほうが興奮するので素直に謝った。
西島は僕のおでこにキスをして、

「今、俺のチンポ入れてあげますからね」

と、耳元で囁いた。お腹の中がキューっと疼くのが分かる。

「薫、俺の大きくして」

さっきのようにズボンとパンツを下ろしてから、萎えてしまったチンポを指差して西島が言う。僕はベッドを這うように動き、西島のチンポを咥えた。

「ん……、ああッ」
「んむ。んー」
「あっ、すごいッ。気持ちいい」

西島のチンポはすぐに大きくなった。僕は顔を動かしてチンポをしゃぶりながら、西島の顔を上目遣いに見た。

「もういいですよ」
「んむ……、ん」

僕が口を離すと、西島はコンドームの箱を開けて、包装を破った。そのまま中身を取り出し、じーっと見てから、精液だまりをつまみ、ぎこちない動きでチンポに被せた。

「合ってる?」
「うん、ちゃんと出来てるよ」
「もう入れてもいいですか?」
「うん。入れて……」

僕は脚を広げて、入れやすいように尻たぶを上げた。西島ははぁ、はぁ、と荒い息を立てながら、僕の上に乗る。西島の体重を感じると、セックスってこんな感じだったな、と思って興奮してきた。

「い、入れますね」

西島はチンポを僕のとろとろの穴に数回押し付けてから、ローションを垂らしてゆっくりと挿入した。圧迫感はあるが、ディルドを入れて慣らしていたし、僕は初めてではないのでそこまで苦しくはなかった。眉を寄せて甘い吐息を垂らす西島の気持ち良さそうな顔が可愛かった。

「んっ!くっ、ううう……」
「ふ、んん……、先生、苦しくない?」
「大丈夫だよ。西島君の好きに動いていいよ……」

抱きつくように腕を絡めると、西島はキスをしながら腰を揺らした。突くというより、掘り起こすような感じだ。乱暴な腰遣いではなかった。体の奥がじんわりと温かくなってきて、これが西島の体なのか、と思うと興奮して少しずつ気持ち良くなっていった。

「ん、ふうっ、ぐっ、あ、あッ!」
「薫、俺のチンポ気持ちいい?」
「き、きもひぃっ、へぅ、ん、んん……」

ぐちょぐちょとチンポでお腹の中をかき混ぜられながら、首筋を舐められたり、耳たぶを噛まれたりする。西島は腰を丁寧に揺らしながら、気持ち良さげに喘いでいた。チンポが奥にたどり着くたびに感度が増している気がする。

「ふ、太くて、おっきくてすごいッ……!あ、あぐっ、んっ、ん、はふ、ふぅう」
「ふふ、本当に感じやすいですね」
「うんっ、あ、あ、あぐぅ……」

しばらく正常位で優しく突かれていたが、だんだんお腹がムズムズして、早くいきたくなってきてしまった。西島より先にいくのは歳上の男としてどうなのだろうと思うが、僕だってずいぶん我慢していたのだ。

「あ、あんッ、もっと、もっと激しく突いてッ!」
「やらしいな……、そんなに俺のチンポが気に入ったんですか?」
「う、う、あっ!ん、ん、きもちいいッ、もっといじめて……、ぼくのトロマンいじめてぇッ」

腰の動きが素早くなる。西島のチンポが、僕の体をえぐるように何度も往復した。目の前がチカチカして、はぁ、はぁっ、と涎や喘ぎ声とともに何度も荒い息を漏らした。

「うっ!あ、イクッ!イク!いっちゃうッ、新多くん、イかせてッ!」
「いいですよッ……、ふうっ、ここがいいんでしょ?」
「あ、あ゛ーッ!そこっ!そこぉおおッ、イグッ、いっ、あ、あ、んっ、んーッ、いく、いくいくいく、いっ……!」

体をビクつかせて、久しぶりのオーガズムに体を委ねる。あまりにも大きすぎる快感に体がぐったりと跳ねた。西島は汗を垂らしながら、苦しそうにまだ勃起したままのチンポを抜いた。

「ん、んふ、ん、ご、ごめんな、先にイっちゃって……」
「いいんですよ。イってくれて嬉しいです」

使い終わったゴムを外している西島に、新しいゴムの袋を渡す。西島は少し呆れたように笑って、勃起したままのチンポにゴムを被せた。

「今度は後ろからしてくれる?バックでめちゃくちゃに犯して欲しい……」
「薫は本当にやらしいな。いつもこうなんですか?」
「そ、そんなの分かんないよ」

そう言いながら四つん這いになると、西島は指で僕の穴に少しだけローションを継ぎ足し、自分のチンポにも垂らしてから、チュッ、と先っぽを穴に押し付けた。

「これ、欲しいですか?」
「は、はふ、欲しい、欲しいよぅ、新多くんのチンポ、入れてくださいッ!ん、んんん……、あっ、あ、あーっ!」

グッ、グッ、と押し込まれて、少しずつチンポが入ってくる。反っている部分がさっきと違うところにあたるので、別の感覚がしてそれも気持ちよかった。僕は自分から腰を動かして、西島の太くて固いチンポを堪能した。

「自分から腰振って、スケべな先生ですね」
「んっ、んふ、ごめんな新多くん、こんな先生で……、あっ、くぅ、ぐっ」
「謝る気ないなら謝らないでくださいよ」

背中に西島の冷笑が降ってくる。

「うんっ、あ、新多くん、お願い、お尻叩いてッ」
「お尻?いいんですか、叩いても?」

西島は優しく僕の尻を揉んだ。多少肉がついて柔らかくなっているが、女の尻のように豊満でもなければ、おそらく肌触りもよくない中年男の尻だ。

「う、うん、叩いて、僕のお尻ッ……、あっ!」

ぴしゃんっ、とお尻を叩かれる。西島は遠慮しているのか、痛みは全く感じなかった。オーガズムのあとに感じる、体を包む薄い膜のようなものが、痛みを快感に変えているのだ。

「すごい音しましたよ。痛くないの?」
「うんッ……、気持ちいい、もっと強くしてっ、強く叩いて!」
「こういうの好きなの、ヘンタイだけだと思ってたんですけど」
「あ、あう……、僕、ちょっとヘンタイなのかも……」
「ちょっとじゃないですね」

また、西島の平手が飛んできた。今度はさっきよりも強い。

「ほら、どうですか?気持ちいいんでしょう、ヘンタイ。腰振ってないで、ちゃんと答えてくださいよ」
「はっ、はふ、きもちいいッ、きもちいい!あっ、あ、あ、んんっ!」
「ふふふ、みっともなくて可愛いですよ」

何度も挿抜を繰り返していると、また、さっきの波がやってくる。射精は一度いくともうそれだけでいいとおもうし、二度目まで時間がかかるが、ドライオーガズムは一度いってしまうといきやすくなるような気がする。それに西島にぴしゃぴしゃとお尻を叩かれていると、余計に気持ちよくなってきてしまう。

「新多くん、またいってもいい?もういきたくなっちゃった……」
「またですか?すけべな体だな。好きなだけいっていいですよ」
「あ!あッ……、んぃっ、そこ、そこお……、もっと、あ、あ、いきそうっ、あ、あ、くっ、くふぅううッ」
「お尻叩かれていっちゃうんですか?エッチな先生ですね」

ペチンッ、とトドメのようにお尻を叩かれて、僕の薄い膜は僕自身の体を緊張させると同時に、脳を弛緩させた。

「はふ、あ、あ、イクッ、イク……、んっ、う、くぅうううッ!うっ、う、んー、ん、ん、んふ……」

長いオーガズムの間、西島はゆるく挿抜を繰り返していたが、それも終わると、ピタリと腰は止まった。

「すみません、俺ももう出ちゃいそうです」
「いいよ、気にしないでいっぱい出して……」

荒い吐息交じりに僕がいうと、西島は奥までチンポを入れて、素早く入れたり、出したりを繰り返し始めた。少し刺激が強すぎるが、キツくはない。優等生で真面目でおとなしい西島が性欲のままに乱れる姿は興奮した。

「んっ、あ、出ちゃいます、出るっ」
「我慢するなよ、好きなだけ出していいからな」
「うっ、イクッ……」

びく、びく、と中のチンポが脈打つ。射精のときまで律儀だな、と僕は思った。西島は深くチンポを差し込んだまま、僕の体を味わい尽くすようにゆっくりと長い射精をした。

「んんん……、ふぅう」
「ん……、はぁあ……。すごい出たなぁ。こういうところ、やっぱり男の子なんだな」
「どういうことですか?」
「そりゃ、若いなってことだよ。僕なんて、もう殆ど枯れてるんだ」

ゴムを外してやると、元気だった西島のチンポはいったん、収まった。ゴムにはたっぷりと白濁液が溜まっている。西島は僕からコンドームを奪って、ティッシュにくるんでポイ、とゴミ袋に捨てた。それから、ドラマか映画のように、後ろから僕を抱きしめた。多分全く処理をしていないのだろう刺々しい剛毛と、精液がべったりとついたままの生ぬるいチンポが当たって、僕の背中は急に色んな感覚で大忙しになってしまった。

「俺、初めてが薫先生でよかったです」

西島は僕の背中とか首筋にキスをしてきて、なんだかむずむずしてくすぐったかった。甘ったるい台詞を言われたらどうしていいか分からない。言われ慣れていないから。

「に、西島君」
「もう名前で呼んでくれないんですか?」

なんだか悲痛な叫びのように聴こえて新多の方を向き直ると、案外余裕そうな顔のままだった。僕は眼鏡をかけ直しながら新多の目をみた。黒々とした綺麗な瞳だ。

「大好き」
「う……」
「一生離さないから覚悟してよ。俺、本当に執念深いんだから」

僕は初めてを捧げたサークルの先輩と最後までいくものだと思っていた。あんな簡単に恋愛とは砕けないものだと思っていたし、それを裏切られたからこそ、恋愛というのは簡単に砕けるものだと思うようになってしまったのだ。
でも僕は、一度だけでもいいから大恋愛をしてみたかった。

「本当にいいの、僕でも?」
「薫じゃなきゃイヤだ」

大人しくて冷静な新多には珍しい駄々っ子のようなせりふだった。新多は僕にキスをして、恥ずかしそうにすり寄ってきた。
新多のチンポは、また勃起していた。若いから回復も早いのだろう。

「新多くんの、大きくなってるよ」
「あ、これは、放っておけばおさまりますから」
「ダメだよ。若いうちは、したくなったらたっぷり出さないとな」

さすがに体力が限界なので、手と口で抜いてやった。新多はすぐに僕の口内にさっきと同じくらいの大量の精液を出した。ティッシュに吐き出して、それも捨てる。精液はおいしい味はしないが、口に出されても悪い気はしない。

「ありがとうございます」
「そういうのは、礼を言うところじゃないだろ」
「……よくできたね、薫」
「そっちの方がいいかな」

僕が言うと、新多はちょっと呆れたように笑いながら抱き締めてくれた。




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