ソファーからダイニングに移動して、腕組みに仁王立ちで沈黙しているサニー。 そんなサニーの様子に渋々キッチンに入ったナマエ。不満たらたらの視線でサニーの様子を窺い、口を尖らせた。 「サニーは絶対まずいって言うよ」 「良いから黙って作れ」 「だって自信ないよー」 「卵くらい焼けんだろ」 「焼けるけどさー」 「何だし」 「どうやって四角くするの?」 「四角って・・・」 サニーはため息をついた。 「厚焼きを言ってんのか」 「うん」 「できんのか?」 「だからどうやって四角く?」 「・・・スクランブルで良だろ」 「スクランブル?」 「かき回す!」 「ああ、あれね!」 サニーは二度目のため息をついた。 「あと何がある?」 「お肉と野菜」 「肉の種類は?」 「えーっと・・・・・・」 「・・・野菜は?」 「キャベツと人参と・・・緑中心に赤いのとか黄色いのとか」 「・・・・・・」 サニーは大きくため息をついた。 「とりあえず野菜を炒めるし」 「このまま?」 「普通は洗って切るけどな?!」 「だよねー」 「・・・・・・」 「えーっと包丁どこだっけ」 「・・・・・・」 「ん?キャベツってどこまで皮?」 (キャベツの皮だと・・・?!) いよいよ我慢の限界と言ったサニーだった。サニーの頭上では髪がいつの間にか拳を握っていた。それをぐっと堪え、もたついているナマエの代わりにサニーは己が髪を翻した。 空中に舞い上がった野菜が一斉に細かくなり、そして余す事無くボウルに収まる。 「ふぇっ?!」 「とっとと洗え」 「今の何?」 「ヘアカッター」 「ヘア・・・」 「最高にビューティーだろ。オレの髪は」 「・・・」 「何だし?」 「・・・ちゃんと洗ってる?」 「え?」 「髪の毛」 「汚なくねーし!」 「だって髪の毛だよ」 「切ったのは触覚でだ!」 「ヘアカッターって言ったじゃん!」 「そこツッコむか?!」 「それに触覚って虫にしか無いよね?!」 「やかましいっ!!」 ◇◇◇◇◇ ※後日、ココ宅にて 「・・・ったく!マジで腹立つし!」 「・・・・・・」 「・・・んだよこの毒」 「いや・・・やっぱり何か違ってないか」 「何が?」 「何がって・・・何処から言えば良い?」 「・・・」 「・・・」 「・・・・・・」 ◇◇◇◇◇ ← → |