「あ・づ・い・っ!!」 「懲りないね」 「トリコくんのせいで私まで汗かいちゃったじゃない!」 「だったら一発でやめろよな」 「トリコくんが避けるからでしょ」 「フツーは避けるだろ」 燈子はもう一度扇子を開き、湿った肌に風を送った。 「あー涼しい」 「ちょ、オレにも」 「嫌。」 「順番こ!」 「無〜視。」 「この〜・・・」 トリコは椅子ごと燈子の隣に移動すると、燈子の身体にピッタリとくっついた。 「ちょっとトリコくん?何でくっつくのよ?!」 「え?オレは風が来る所に移動しただけだって」 「やだ!何かベタベタする!!」 「燈子のほっぺた何か冷たいな〜」 「いや〜っ!気持ち悪い!!」 「風〜早く〜」 「バカ!離してってば!」 「ヤダよ。燈子の体、冷たくてすっげー気持ち良いし」 「私は気持ち悪いんだけど?!」 「オレは最高〜」 「やめてってば!」 「やめませんってよ?!」 「ちょっと!くすぐったい!!」 「くすぐってなんかないデス〜」 ジュッ。 「・・・見てて暑苦しいんだけど。」 「えっ///」 「え、まさかココ、やきもち?」 「やきもちも何も・・・嫌がってるじゃないか」 「ココさんの言うとおりだよ!」 「何で今日は嫌なんだよ?」 「今日はとかじゃ無くって!」 「あ、シャワー浴びてないからか!」 「バカっっ!!」 「・・・・・・」 「そう言えば蒼衣遅いな〜?」 ココは立ち上がった。額に青筋と毒を混じらせて。 立ち上がった無表情なココに二人はビクリと体を強ばらせ、そのままの体勢でココの機嫌を窺った。 「「・・・」」 テーブルの一部・・・ココの手が置かれていた場所は変色して、怪しい気体が立ち上っている。 「「・・・・・・」」 ココは眉をひそめてトリコを見るとその足でキッチンに行き、何やらガサガサと探しだした。 数分後。 「トリコ。これをやるから大人しくしてろ」 「な、何でしょう?ココさん?」 「んー。天然の氷枕ってところかな」 「氷枕?」 ココが持って来た物は、半透明のクラゲ。 それをトリコの頭にボム、と乗せた。 「うおっ?!何これ冷てぇ〜!」 「だから天然の氷枕だって」 「生きてるの?!」 「当然」 燈子は恐る恐る、トリコの頭の上でふるふると揺れるゼリーを眺めた。 「本当は発熱時に使うんだけど・・・この男があまりにうるさいからさ」 「サンキューなココ!!」 「礼なんか良いって。それよりもとっとと離れなよ」 「・・・それってヤキモ「何か言ったか?!」・・・イイエ」 ← → |