笹の葉さらさら・3





★☆ 少年期の七夕 ☆★



『七夕の日ってさ、雨が降ってほしい国もあるんだよ。知ってた?』



『・・・そうなの?』
『そもそも七夕自体が色んな行事が混ざってんだよ』
『ふーん・・・(疑)』
『織姫と彦星が年に一度会うって星伝説と、神様に豊作を願う祭りが有名だよ』
『何で混じったの??』
『何で?・・・そりゃあれだ。美食屋があちこち歩くからだ』
『そうなの?』
『そうだよ』
『ふーん・・・(疑)』
『七夕の日が晴れてほしいのは星伝説を信じてる国。逆に豊作を願う国は恵みの雨が降るのを祈るって訳。』
『えーっ!?』
『意味わかんねーし』
『ま、今年は雨だったから、豊作だよ』
『ホント?』
『信じていれば』
『ふーん・・・(疑)』
『ココ、疑ってるだろ』
『・・・少し』
『おおっと。師匠の話を疑うか』
『オレも疑ってる!』
『レも!』
『なんと。』
『そんなの信じられるかよ』
『そんな風に育てた覚えは無いんだがなー』
『なー、お願い事はどっちでも叶うのか?』
『願い事?』
『短冊だよ、笹飾りの』
『あぁ・・・今年は【美食屋になりたい】が多いなー』
『うん。それはみんな書いたし!』
『てか相変わらずマンサムネタも多いな』
『だって見つからないんだもん。お嫁さん』
『それに所長、毎年泣いて喜ぶんだぜ!』←チガウ
『・・・アイツも苦労してんな〜』
『師匠のも書いたよ!【ケッコンできますように】!』
『ほぉ〜。良い性格してんなオマエタチ。』
『あ、だったら所長とケッコンすれば良いんじゃね?!』
『あ゛?!』
『カカカ!面白ぇ!』
『そーだよ!お似合いだよな、二人とも酒たっくさん飲むし!』
『・・・まず初っ端から間違ってないか?』
『夫婦喧嘩しても、どっちも負けないから良!』
『どっちかって言ったら所長が尻に敷かれるよな!!』
『じゃあ早速書こう。紙残ってたよね?・・・あ、切らなくて良いよ。一番大きくて目立つようにしておかないとさ?ボクたちのお願いより優先してもらわないと』
『・・・そんな無駄に優しいお前たちに残念なお知らせだ!織姫が叶えてくれるのはただ一つ!縫い物の上達のみ!』
『えええーっ!!』
『マジでか?』
『マジでだ』
『そんなの一言も聞いてねーし!』
『今言った』
『そんな能力いらねーよなぁ』
『むしろお前はすぐ服を破くから必要だろが』
『まだ彦星の牛食ってねぇ!』
『お前は顔に似合わずメルヘンだなー』
『せっかく書いたのに。【大酒飲みで鬼みたく強いボクたちの師匠二人がとっととケッコンしますように】』
『今すぐ燃やせ』
『つまんないの〜・・・』
『まぁそれはさておきだ。美食屋志望が願うのは当然五穀豊穣!』
『まぁそうだけど・・・』
『よってテルテルは逆さに吊るすべし!』
『『『『ちぇー』』』』
『早く美食屋になりたいヤツはほら。行くぞ、狩りに』
『『『『わーい!』』』』







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