「残念・・・今年は雨です」 「ホント。ココさんちからは良く見えると思ったんだけどな〜」 「あっでも、雲の上では逢ってるかもよ?!」 ・・・と窓際で他愛も無い話をしながら作業中なのは女性陣。 七月頭のとある休日。 七夕の準備と称して今日もボクの家に勢ぞろい中だ。 そう。七夕は織姫と彦星の、年に一度の逢瀬。 晴れた空に数多の星たちが織り成す天の川。それはそれはロマンチックな夜空なのだ・・・が。 どうも雲行きが怪しく、七夕前日から数日間、雨との予報・・・当然ボクの占いでもそうだった。 ボクたち男性陣はと言うと、そんな彼女たちを遠目にのんびりテーブルで紅茶を飲んでいた。 「ねぇトリコくん?七日はいつものアレで雲飛ばせない?」 「いつものって・・・釘パンチ?無茶言うな」 「じゃあサニーに頼もうかな〜髪の毛でササっと」 「ちょ。前、距離知ってて言ってんの?!てかホウキじゃねーし!」 「ココさんが『晴れる』って言ってくれれば」 「占いじゃなくて個人的希望でなら言えるけど」 え〜?!と不満そうな彼女たち。 「せっかく笹持ってきたのにな〜」 「こんなに可愛らしく飾ったんですけどね」 「夜空見ながらみんなで乾杯したいのにね〜」 綺麗に飾りつけた笹の前であれこれ不平を言っている彼女たち。 ボクたち男性陣はと言うと・・・ボクは苦笑、トリコは無視、サニーは紅茶のおかわり中。 「なんか、殿方は興味ないみたいだし?」 チクリと嫌味の飛び出した彼女たちに、ついボクは口を出してしまった。 「と言うよりもね?ボクたちにとっては七夕は雨でなくちゃいけない日なんだよ」 「「「雨でなくちゃダメ?!」」」 うんうん、と頷くトリコとサニー。 「そうなの?トリコくん?!」 「そうだよ。だって五穀豊穣を願う日なんだぜ?」 「五穀豊穣・・・?!」 「作物には水が必要だろ?雨が降らないイコール日照りで凶作ってお告げなんだし」 「・・・サニーが難しい事言うとウソっぽいな〜?!」 「おま!じゃあ何で笹にナスとかスイカの飾りが有るんだし!」 「あ。」 「そう言えば・・・」 「でも、雨が良いなんて初めて聞きますよね?」 半信半疑の女性陣に、声を揃えた。 「「「そう習ったんだよ」」」 → |