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「…お前、なんで求の家にいる」
「……」
「答えろッ!」

共同玄関に歩麻のイラついた声が響いた。歩麻を落ち着かせようと彼に再度話しかけようとしたが、環也は何故か腕を引っ張てそれを阻止する。環也に抱きしめられる形で腕ごと引っ張り上げられた。

「…オイ、新田に教えてやろうぜ求。俺たちが付き合うことになったってことをよ」
「は、おい…っ」

力強く腕を掴まれて、骨がギシギシとなる。あくまで自分の指示に従えという脅しなんだろう。体格差はほぼないと思っていたが、環也の力はとてつもなく強かった。様々なことを考えると今の俺は大変不利だった。そのことに結局俺は抵抗どころか何も言えず俯くしかなかった。
歩麻はその俺の態度にイラついたのか、初めて俺に対し大声で吠えた。

「オイッ!本当なのかよ、求ッ!」
「そうだよ、新田。晩の責任を取るために付き合うことになった。それに恋人と同棲することぐらい20超えてもおかしくないだろ」
「……。…オイ、うるせえぞクズ…。俺はお前に聞いてねえ。求に聞いてんだよ」
「…ッ…!」

歩麻の眼光がキツく光る。求の腕を掴んでいた環也が一瞬引けを取った気がした。震えを抑えるようにさっきよりも酷く強く環也に手首を握られて、求は痛みのあまり顔を痙攣らせる。歩麻の圧にこの男力加減ができなくなっているのだ。ハッハッと浅く息が環也から漏れている。恐怖と興奮状態の環也に、彼の理性が失われていっているように感じた。今すぐでも歩麻へ飛びつきそうだ。求は嫌な予感を察して躊躇わずに環也の腹を膝で勢いよく蹴り上げた。

「ぅぐッ?!」
ガタン、と環也は腹を抑えて膝から崩れ落ちる。その咄嗟に求は彼から抜け出して、もう一度歩麻の方へ駆け寄った。

「ごめん、ッ歩麻、今は帰ってくれ」
「は?」
「お願い、だッ…!今は帰ってくれ…!」
「は、なんで?なに求、俺よりもソイツを優先させるの?そんなわけわかんねえ奴と一緒にいる方が怖いとか思わねえの?それともソイツのこと庇ってる?」

脇腹を抱えて蹲る環也の姿を気にかけながら歩麻に再度訴える。しかし、歩麻は求の行動が理解できないのか、テンションは次第に下がっていく。言葉の節々に冷たさが突きつけられた。それでも、求はここで理性が外れた環也に暴れられることのほうが恐怖だった。あんなに歩麻のことを憎み嫌っているのだ。キッチンには刃物も置いてあり、それを突掴んで暴れでもしたら……取り返しのつかないことになる。それと反対に、歩麻が暴れる事態も恐れていた。歩麻は血が上るとすぐ手が上がるということをさっき学んだばかりだからだ。この状況なら、何がなんでも彼らとの接触を遠ざける方がまずは重要だった。

「お願いだ、歩麻ッ」
「……。…ふーん、そうかよ。求にはガッカリだ。一回抱かれたらすぐに情入れする尻軽な女みてえな性格してたとはな。お前はもっと賢いと思ってたけど…もういいわ」

歩麻は冷たい目を求に見せると、そのまま激しい勢いでドアを蹴り上げる。怒りをぶつけるように激しくドアを蹴った歩麻は、大きく足音を立てここから離れていった。
蹴られた勢いで扉がピタリと閉まる。それを見計らったように求は勢いよく体を押され、玄関のドアに強く背中を打ち付けた。そのまま両腕を拘束され、先ほどまで蹲っていた環也が求に覆い被さるように追い詰める。

「アンタ…なに考えてやがる…大人しく従えって言ってたよな」
「っ!…暴れられた方が困る、そう思ったからだッ!アイツは俺の友人だ、歩麻を傷つけるのは許さない…ッ!!」

明確に言葉にすれば、より環也の顔が険しくなっていったのがわかった。顔がひきつり、瞳孔は黒いが怒りで燃え上がっているように視線は尖っていた。

「アンタ、まだ立場がわかってないようだな?…いいよ、わからせてやる」

そう言った環也は勢い任せに求の頬を殴りつけた。口の中が切れる感じがして、血の味が口内に広がった。環也は求の腕を無理矢理引っ張り、数歩の距離にあるベッドへ突き放した。急いで立ち上がろうとするが、環也はそのまま乗り上げてきて、再度俺の頬を強く殴りつけた。痛みのあまり体の動きが鈍る。そのまま、環也は近くに落ちていたタオルで両手首をくくり上げて求の自由を奪った。
ヤバイ。そう思っても環也は求の意思に反して無理矢理服を脱がしていく。乱暴な扱いと抑え込まれる恐怖に声が上がらなかった。

「は?何ビビってんの?俺に歯向かったくせにもうお手上げかよ」

環也はそう酷く怖い目で睨み上げながら、履いていたスラックスを下着ごと脱がしてくる。シャツはめくり上げられて、そのまま腕の拘束に引っ掛けられるように包められて脱がされた。あっという間にまた裸にされた。口の端が滲んで痛み、ほおの腫れが広がっていく感覚がする。
歩麻が無事であればいい、それでいいんだ。そう思いたいが、心の中は恐怖でいっぱいだった。
環也は首から胸、下腹部へと手這わしていく。ゾワゾワとした恐怖感と羞恥心が心臓を締め上げる。環也は胸や腹を弄ぶことはなく、そのまま縮み込んだ根本を包み込む。突然触れた肌に体に緊張が走った。グチッ、と強く握りこまれる。そのまま環也は求のものを扱き始める。
擦れた肌と肌にほのかな気持ちよさが感じられた。亀頭をぐにぐにと親指で責められて、身が固くなっていく。

「ハッ、あの時も思ったが、男にいじられて簡単に気持ちよくなるんだな」

より強く握りしめられ、半ば乱暴に手を上下された。

「っ、んっ、……っ!」

刺激に反応しないように必死に意識を逸らそうとするが、口からは声が漏れて感じているということがバレてしまう。試すように側面部や亀頭の裏側を撫でられ、脳の中が甘く蕩けそうになる。環也からの刺激に、求は快感逃げることから次第に感じた声が漏れないようにするのに必死になっていた。

「おい、腰浮いてるけど?」
「ッ!!」

ぬちぬちと、いつのまにか溢れた我慢汁を擦りつけられて激しく扱かれる。より増した気持ち良さに体が震え、求の腰は自然と浮いてしまっていた。腰を引こうとしてもがしりと掴まれて、逃げられなくなってしまう。

「っ、やめ、ろっ……、う、うあッ……!?」

そそり立った性器を扱きながら、環也は後部へ指を突き入れ始めた。求の垂れ出した体液をすくってグイグイと孔を押し広げていく。穴へと簡単に入っていく指に体がこの行為に慣れ始めているのを感じた。

「や…、やめろっ…!!はなせッ!!」
「は?せっかく温情で解してやってんのに、なんだよその態度。マジで自分の立場わかってねえらしいな」

環也は苛立ったように指を勢いよく引き抜く。その感覚に思わず達しそうになり堪えていると、ベタリと熱いものが入り口の縁部分へ触れた。

「はっ…!?、まっ、や、やめ、ああっ!!!」

奥へと大きな異物が入り込んできた。
グッグッと中を埋めるように強く押し込められて、裂けるような痛みを感じる。なかなか入らない求の秘部に耐えられなかったのか、脚と腰を思いっきり持ち上げられて、上から見下ろすように環也から腰を突き入れられた。
下半身を持ち上げられた状態でガンガンと腰を犯される。中を大きく抉られ、声は抑えられなくなっていく。

「っあ、あがっ、ァ、ああっ…!!!」
「っ、は…、嫌がってたのに感じてんじゃねえよ!」

更に追い討ちをかけられるようにガンガンに激しく腰を振られ、体全身が上下に揺すられる。
気持ちいいとか気持ち良くないとかわからない。ただ、環也に自分を屈服させられている感覚だけが体全身に染み渡っていった。身体全てを環也に支配されている。それに抵抗できない自分にひどく心が冷えていった。

環也の腰の動きが速くなっていき、求の身体はぐちゃぐちゃになる。今までで一番奥深く性器を押し込まれた途端、ドッと熱いものが腹の中にぶちまけられた。止まった腰の動きと繋がった部分の振動に、環也に中に精液を出されたことがわかった。
頭から足先まで全身冷たくなっていく。男に犯され、中に精子を出された。その衝撃と精神的ショックが求の中で大きく支配していく。

体をベッドの上に下ろされ、こぷり、と後部から粘ついた液体が垂れてきた感覚に求はついに気を失った。









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