小説 | ナノ

「……おい承太郎?」
「あ、あそこにいるぜ。デカイから目立つが単独行動はよくねぇぜ」
「ああ、悪い。DIOの刺客がいたもんだからよ」
「マジかぁ、行動はえーな」
「スタープラチナがいくら素早いと言えど過信は禁物だぞ承太郎」
「わーってるよ。公子、怪我ないか」
「怪我も何も敵がいることに今気が付いたくらいだから何もないよ」
「何もないならいい」
 エジプト上陸後、敵の脅威は更に増した。花京院の抜けた穴を埋めるのがイギーという、コミュニケーション的に不安のあるメンバーのせいか、いつもよりも皆緊張している。
 特に承太郎は警戒網を一瞬たりとも緩めていないようで、誰よりも先に敵を見つけてはねじ伏せていた。
「おっと、人が集まって来たな。さっさと逃げようぜ」
「我々を襲ってくるのは仕方ないとして、せめて病院に自力で行ってほしいところじゃな」
「行けないくらいにボコボコにしている我々が言うのもなんだと思いますよジョースターさん」
「違いねぇ」
 承太郎が倒したというスタンド使いは、顔が青くなるまで殴られ、数本骨を折られ体を動かすことすらままならないようだ。
「うげ……」
「どうした兄ちゃん。今救急車を呼んだぞ」
「し、知らない西洋人だか東洋人だかに思いっきり殴られたんだ……アイツ一体何だったんだ???」

「しっかしよぉ、敵スタンド使いって男ばっかじゃね?俺だってきれーなお姉ちゃんに色仕掛けで迫られたいぜ」
「ポルナレフ……お前エンプレス戦の痛い思いを忘れたのか」
「あ、あはは……いや、だってよ。今日この街に来て襲ってきたのが五人だろ。全員野郎だったじゃねぇか」
「スタンドは闘争心のような心で操るからな。女性は何処の国も穏やかな気性の人が多いんじゃあないか?」
「アヴドゥル。それだと公子が……」
「あ、すまん」
「……かまいませんけどぉ?」
(拗ねてる……)
 一行はホテルに来ていた。承太郎がチェックインの手続きをする間、残りのメンツがロビーで談笑をしていると、短い男の悲鳴が聞こえた。
「まさか!」
 承太郎の身を案じて全員がそちらの方に行く。案の定承太郎は受付のカウンターから離れ、悲鳴を上げた男の首元をスタープラチナに掴ませていた。
「に……にげろ……こいつ、おかしな力で襲い掛かって……う……」
 両足をばたつかせる男は駆け付けたジョセフ達の姿を見ると追い払うようなハンドサインをした。刺客にしてはどうもおかしい。
「承太郎、手を放しなさい。様子がおかしい」
「ぐぇっ……」
「大丈夫ですかおじさん?」
 公子が地面に尻もちをついた男に駆け寄った。が、承太郎の足がそれを阻む。
「近づくんじゃあねぇ!……テメェ、俺たちに二度と近寄るな」
「ひっ……ひいいいいいいい!」
 悲鳴を上げて去っていった男の背を見ていると、ジョセフが公子に耳打ちをした。
「公子。承太郎の様子が何かおかしい。お前さんはわしよりも承太郎との付き合いが長い。何かあったのか聞き出してはくれまいか?」
「分かりました」
 結局承太郎がチェックインをサボって何故あの男を攻撃していたのか理由はよくわからなかった。改めて部屋をとったのはジョセフで、公子と承太郎には同じ部屋だと告げて鍵を渡した。

「承太郎。さっきの人本当に敵だったの?スタンドが見えてなかったし、私たちを逃がそうとしてたよ?」
「俺が敵だと言ってるんだ。信用ならねぇのか?」
「何か根拠があってああいう行動に出たんだよね。それを聞かせてほしいな」
 思えば、承太郎とは子供のころからの付き合いだが彼の考えていることがよく分からないということがいつの間にか増えていた。思春期を迎えてそうなるのは仕方のないことだと思っていた。旅を始めてより寡黙になったのも、母が命の危機に瀕しているから当然だと思っていた。
 だが、最近の妙な行動はそう言ったものを差し引いても分からない。彼はホリィいわく「いい子」だとは思っているが、その前提を覆すような恐怖を時折感じざるを得ない。
「……視線がな、気になった。妙にねっとりした目でお前のこと見てやがる」
「そ、それだけで攻撃に移ったの?まだ警戒の範囲内じゃない?」
「お前をガン見してたっつーだけで俺にとっては攻撃対象になるんだよ。女をワケもなくじろじろ見るわけねぇだろ。そういう時の野郎の頭の中ってのは、エロいことしか考えてねぇんだよ」
 そう言いながら、承太郎は公子をワケもなくじろじろ見ている。
「い、今承太郎が考えてることって……」
「同じことを二度言わせるな。エロいことしか考えてねぇんだよ」



「一人目の男は、お前の胸元を見ていた」
 制服のリボンを引っ張ると、それは容易く解けた。
「二人目の男は、お前の手を見ていた」
 ベッドに押し倒し、リボンで両手を縛ってあげさせる。
「三人目の男は、スカートを見ていた。だが、その下は見れなかったな」
 足首を掴んで左右に開く。短いスカートはめくれ、その下にあるショーツのクロッチ部分はじんわりとシミが出来ていた。
「感じてるのか?」
「こ、この恰好が恥ずかしすぎて……無理」
「でも気持ちいいんだろう?じゃないとこうはならねぇ」
 布をそのまま中に押し込むつもりじゃないかと思う程、強くそこに触れる。痛みと羞恥に歪んだ公子の顔に、承太郎の顔が重なった。
「四人目はツラを見ていた」
 吐息がかかる距離から、吐息を共有する距離へ。深すぎる口づけに息苦しさを覚えせき込む。
「五人目は……お前をオカズにひたすらエロいこと妄想してた」
「そんな……言いがかり……!」
「違わない。普段俺がそうしてるんだ。同じことしてるヤツには誰よりも早く気が付くぜ」
 制服を上にたくしあげ、ブラジャーはフロントホックを外す。締め付けていた布を失い、揺れながら左右にこぼれる乳房を手で支え、先端をいじりながら揉みしだく。
「六人目は、口を見ていた。しかもあのオッサンは相当な編た野郎だったぜ。キスしたいとかじゃなく、これを突っ込みたいって顔してたぜ」
 胸をいじるのに飽きると、今度は自分も刺激が欲しいとズボンのチャックを下ろした。既に体液を垂らしながら立ち上がっているそれを手でしごく。
「敵襲が多いから公子も相部屋を取るようになってラッキーだったぜ」
「じょ……」
「あんまビビんな。お前自身を汚すような真似はしねぇ。約束する」
「え……どういう、意味?」
「まあ本音を言えば、この国のコンドームはどれもこれも小さすぎんだよ。俺のサイズに合わねぇから動くと簡単に破れちまうし痛ぇ」
「……ああ、そっか。旅の途中だから、体に負担がかかるのは危険だからね。よかった。承太郎が私に魅力を感じてないわけじゃなかったんだ」
「なにぬかしてやがる。この状況でそんなことあるわけねぇだろ」
「ねぇ。皆は今ひっきりなしに敵が襲ってきてると思ってるけど、実際は全部承太郎が嫉妬で八つ当たりしてるだけでしょ?じゃあ、本物の刺客は本当に来てないと思う?」
「……?」
「すごくキレイな女だった。褐色のセクシーな肌と、細くて長い脚と、厚い唇が、同性の私からしても嫉妬するくらいの美貌だった。こっちを見てるのに気づいたから、スタンドでブチのめそうとしたら向こうもスタンド使いだったの。でも安心して。ちゃんと始末した」
「……公子……」
「ねえ、もうDIOとの距離はそんなにないよ。もし妊娠しても、戦っている間に影響はないでしょ。それより明日死ぬかもしれない旅路なんだから……ね……」
 萎えかけているそれを指先で弄ぶようにさする。単純なものでそういうことをされればすぐに復活する。承太郎とてこの状況ではただの男なのだ。
 それはすぐに上を向き、指でなぞるたびにビクンと跳ねあがった。
「しよ?」


prev / next
[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -