小説 | ナノ

「われわれの」
「中に」
「裏」
「切り」
「者」
「がいる」
「主人に」
「気を」
「つけろ」
「DI」
「O」
「の」
「手下」
「だ!」

 という念写メッセージを受信したジョセフに相談を受けた花京院が、公子を偵察することになった。
 極限まで存在を薄めることができ、射程も長いハイエロは密偵としての条件を十分に満たしているからだ。
(しかし、女性の部屋を覗き見るだなんて……気が進まないな)
 紐状になりドアの下の隙間をするすると潜り抜け、ベッドの下に待機する。が、音と光は感じられるがこれでは部屋で何が起こっているのか全くわからない。
 だからといって部屋を見通せる場所に移動すればまず見つかるし、そうなると花京院が覗き魔の烙印を押されるというある意味怪我より辛いダメージが待っている。
(そうなったら道中ずっとポルナレフに言われ続けるぞ)
 我慢してその時が来るのを待つと、公子がベッドの上から立ち上がりバスルームへ向かう音がした。今のうちに部屋へ飛び出て天井の隅に移動する。ここならばこの部屋で何が起こっても把握することが出来るだろう。
 更にDIOと連絡を取るとすれば使用する電話線にも仕掛けを施す。受信する音声もバッチリ盗聴できるという寸法だ。

 三十分後、シャワーの音が鳴り止んだのを聞き、花京院は視界をスタンドと共有する。部屋の斜め隅から見下ろすこのアングルは正に隠しカメラ映像である。
(違うんです。仕方のないことであって、僕の趣味というわけじゃあないんです)
 誰にするでもない言い訳を心の中で唱え終えると、扉が外側に向かって開いた。その下から公子の足が見える。
(……まさかとは思うけど……い、いや。部屋に一人しかいない状態なら、あり得る……っ!)
 花京院がその可能性に気づいたときはもう遅い。一糸纏わぬ姿の公子が髪の毛の雫をふき取りながらハイエロの視界に入ってきたのだ。
「〜っ!!」
 花京院本体が思わず声を上げてしまう。が、もちろんこの部屋の公子には聞こえない。何も気にすることなく椅子の上に置いてあるカバンから下着を取り出して、花京院に背を向ける形で着替えを始めた。
(ぬ、脱ぐよりも着る所を見るほうが……なんだろ……えっちだ)
 バカみたいに正直な感想が出てきたところで、着替えを終えた公子がベッドに腰掛ける。服を着たとはいえ上は薄手のキャミソール一枚、下もホットパンツというラフすぎる格好のため、花京院の下半身の興奮は収まらなかった。
(このプライベート感がやばい。だってこんな姿の女性、身内か彼女じゃないと見ることができないだろ!)
 花京院は一人っ子であるため、姉や妹がこういう格好を家族にさらすものなのかどうかは分からない。少なくとも母はこのような格好をする年齢ではないため、初めて見る女性の薄着の室内ファッションというやつに中途半端に隠れた肌の部分を想像してしまう。
(こ、これを彼女が寝るまで見続けるなんて……どうしよう……すごく、したくなってきた)
 切なそうに自身に触れると、これまでにないほどの硬さがそこにあった。下着ですら締め付けを感じ痛みを伴い始め、仕方なしに花京院も制服を脱ぐ。ここしばらく抜いていなかったせいもあり、下着に収まりきらないサイズに成長したそれを撫でながら監視作業を続けると、その手を加速させるような事態になった。
 公子はベッドの上で足を広げ、ストレッチを始めたのだ。体を倒すたびに隙間から覗く胸。割れ目がくっきりと浮かぶ股。そして何より、
「んっ、んっ、んっ」
 少し苦しそうな声。
(公子さん……!)
「んっ、んっ」
「はっ、はっ」
 声に合わせるように花京院の手が上下に動く。公子と自分の動きをあわせれば、まるで自分が彼女を犯しているような錯覚を覚えるのだ。
 自分が何故監視作業をすることになったのか、本来の目的も忘れて一心不乱に自身を擦る。精液が上り詰めてくる感覚にティッシュを取ろうとするが、そこで公子のストレッチは終わってしまった。
(……だ、出しておけばよかった……ん?えっ、ええっ!?)
 開脚前屈を終えると、今度はベッドに仰向けになり、足を天井に向けてピンと伸ばした。その状態から股を左右に割っていく。手は足首に添えられ、更に股関節を伸ばそうと手でぐいぐいと足を広げる。
 傍から見ると、みっともないという言葉そのもののポーズである。が、これはれっきとした健康法だ。足の血流をよくし、新陳代謝を増加させ下半身のダイエットに効果をもたらす。
(ああ……い、いれたい……)
 ハイエロが天井から降り立ち、公子の足側に着地した。死角になっているから視認することは出来ないはずだ。
(ああ……公子さんの大事なとこが……こんな……すごい、形が分かります。見えます。この溝をなぞったら、どんな声を出してくれますか?)
 このポーズもいつ終えるか分からない。一瞬お預けを食らっていた花京院は今度こそといわんばかりに強く、早く手を動かした。
「あっ、あっ……ティッシュじゃなくて、ここに、かけたい……公子さんの……ここに……もっと、見たい……公子さんっ、公子さん!出るっ、……んっ!」

「花京院。公子のことなんだが、実は敵が公子に変装していたようでな。今は正真正銘本物だからもう監視はしなくてもいいぞ」
「そうだったんですか。それなら安心ですね。しかし仲間に化けて襲ってくるとは卑劣な敵ですね」
「うむ。単独行動は控えた方がよさそうだな」
(そうですね。それに、いつ本物と入れ替わるかも分からない……監視は毎日続けないといけませんよ、ジョースターさん。公子さんの監視は、僕が引き受けます)


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