小説 | ナノ

「しながら教えるからもう声上げていいぜ」
 どんな声をあげるだろうか。悲鳴か?それとも嬌声か?
「く……じょ……くん」
 公子の怯えた声は歯がカチカチとぶつかる音にかき消されていく。その震える声と、表情と、全身の筋肉の硬直から怯えが伝わってくる。
 今触れている腕は特に、身を守るように閉じようとしている。その動きが公子の盛り上がった胸を寄せるような動きになるものだから、ついそっちを凝視しちまう。十七歳の男だったらごく自然なことだ。
「え?え?あの……何、しようとしてる、の?」
「確認、だ」
「何の?」
「色々だな。まずは……」
 下着の色。
「ひっ!や、やめて!どうしてこんなこと!」
 制服のブラウスの下は赤いキャミソールがまだ公子の柔肌を俺の視線から守っている。だがその隙間から見える肩紐を見て分かった。オレンジ色のブラジャーをしている。
「下も揃いの色にしてるものなのか?」
 そう言った瞬間公子の手がスカートを押さえ込んだ。だがそうなると上半身がガラ空きだ。もちろん俺が尋ねたのもフェイントをかけるため。ショーツの色はまた後で見るつもりだ。今は公子の唇を貪りたい。
 俺の顔をどけるための手は今下側の守備に回ってる。そのまま腕を押さえつけるように公子の体にもたれかかると、最後の抵抗なのか首を振って顔の接触を避けようとする。
 公子と俺の体の間に挟まっている小さな手がもぞもぞと動く。別に俺はくすぐったがりというわけじゃあないが、腹部を公子の手が這いずろうと暴れ回る感触に、意識を向けてしまう。まるで俺の腹を愛撫しているようじゃないか。もう少し体をずらせば、俺の股間に触れてくれるだろうか。
「どいてっ……近いし!重いし!」
 いや、多分今触れさせたら遠慮なく握りつぶされそうだな。もう少し抵抗する気を削がなくては、ゆっくり堪能することが出来ない。
 しかしどうしようか。恐怖で押さえつけるのはあまり好きじゃない。俺はコイツの泣き顔が見たいわけじゃなく、よがっているところが見たいからな。
「畠中は……」
「?」
 その名前が出ると、苦しそうな公子の顔に変化が起きた。不思議そうな顔だ。この状況でまだどうして畠中の名前が出るのか分かってないらしい。
「まだ手を出してないんだよな」
「……」
「無言じゃわからねえ。なら実際に“挿れてみて”確認するか」
「かっ、確認って!」
「ああ。公子がセックスしたことあるのかどうか、だ」
「何で!?何でそんなこと空条くんに聞かれなきゃなんないの!やめて!」
「何でってそりゃ、お前が他の男の元に行くのが我慢ならねぇからな。特に初めての相手ってなぁ重要だ。処女をもうくれちまったのかどうか、そういうこと気にするのは小せぇと思うか?」
「そういうのは彼女のことだけ気にしてればいいでしょ。私、空条くんと個人的に話したこと一度もないのに!」
「そうだっけか。ああ……そうかもしんねぇな。長いこと見つめていたからすっかり俺たちの関係性が深いものだと勘違いしちまってた。が、その勘違いはお前からすりゃあ、の話だ。俺が、お前をそういう目で見続けてたことは揺るぎねぇ。今まで接点がねぇってんなら今から作ってやる。とびきり、深いのをな」
 俺は優しく口説いたつもりだったが、どうも女からすりゃこの発言は恐怖に感じるようだ。公子の目の奥から涙が溢れてきた。
 だから俺は、泣き顔を見てぇわけじゃねぇ。なあ、受け入れてくれよ、俺を。
「いらないっ!空条くんとはクラスメイトで、それ以上の交流なんてしてないしこれからもしないっ!」
「それでもよかった。お前が畠中と付き合うって聞くまではな」
「!」
「……別れろよ。そうすりゃ俺もこんな無茶なことしねぇ」
「……」
 そうか。その場しのぎでもアイツと別れると言えねぇのか。きっと今公子の頭の中は畠中の顔が浮かんでいるんだろう。目の前に、俺がいるのに。
 何も言わない公子に、何故か怒りに似たものがこみ上げてきた。普通の怒りと違うのは、こんなにもムカついているのに何故か泣きたい気持ちのほうが強ぇってとこだ。本当に泣きたいのは公子のほうなんだろうが。
 俺はその感情によって出て来そうになった嗚咽を封殺するように、二本のベルトを外した。暴れる公子の腕を、左右それぞれの足首に縛り付ける。つまり公子は今、仰向けに寝そべって膝を曲げている状態だ。更に足の間には俺の体があるから股を開いているというみっともない格好になった。だが、無理やりとはいえ俺の下で足を開く公子に正直興奮する。先ほど確認できなかったショーツの色が、ブラと揃えてあることもよくわかった。
「俺を受け入れた体で、アイツに会うんだな」
 自虐のつもりでそう言った。俺は手を伸ばして机の上のハサミを手にする。刃物の登場に今までじたばたしていた公子の動きがぴたりとやんだ。
「お前の体を傷つけるつもりはない。明日が学校休みでよかったな。後でコンビニで下着を買ってきてやるよ」
 レースになっていて布地の薄い部分を選んで、俺はハサミを動かした。腰を締める感触がふわりとなくなったことに、公子は最後の砦が千切られたことを認識したんだろう。
「……本当にするつもり?」
「ああ」
「ゆ、許して」
「公子は何も悪くない。謝る必要はない」
「だったら何で、私がこんな目にあうの?」
「他の男と付き合ったからだ」
「どうして空条くんに私の付き合う相手について干渉されなきゃいけないの?」
「俺がお前を好きだからだ。もう質問はないか?ないなら確認するぜ」
 割れ目を撫でていた指を一気に押し込む。全く濡れていないのに異物を挿入されるのは相当苦しいんだろう。怯えていた震え声は痛みへの悲鳴になった。
 だがこの状況じゃ濡れねぇだろう。少しでも公子の痛みを和らげるために、俺はスカートの中に頭を入れた。
「やめて!汚いよっ!お風呂とか昨日入ったきりだし!」
 そうだな。普通ならこういうことをする前に風呂で体を清めるもんだ。生憎そんなヒマはなかったが、気にすることはない。それでもそんなに気になるなら、お前も洗っていないままの“俺”を口にいれればいい。それならお互い様ってやつだろ?
 中へ進入するものが指から舌へ変わると、公子の痛みもマシになったようだ。確かに俺の指は相当太い。いきなりいれるにはキツすぎた。
 最初は唾液を潤滑液にするために舐めあげるだけでいいと思っていたが、嗅覚と味覚から俺を侵食するこのメスの味に、俺の舌はさらに奥を求めて蛇のように動く。途中前歯でクリを刺激すれば公子の体が跳ねた。
(感じている……俺の愛撫で、よくなってきてる)
 その事実に俺はますます興奮し、自然と手で自分のモノを擦っていた。どうせ擦るんなら目の前のそれで擦りゃいいのに。
「公子、悪い、もう限界だ。こっち挿れる」
 公子の目が俺の股間を見つめている。変態だと自分でも思うが、見られるだけでも興奮が収まらない。緩めに撫で続けているそれは先端から我慢汁をよだれのように垂らし、公子の陰毛の茂みに一粒落とした。
「……」
 諦めたのか?もう何も言わない。いや、きっと真に恐怖したんだろう。きっと見たくもないのに、光の消えた目に男の下半身を映し続ける。195cmの巨漢が自分のナニを擦りながら挿れるっつってんだ、ビビらねぇ方がおかしいだろう。
 だが暴れねぇならそっちの方がいい。無理に押さえつけて傷でもついたらことだ。そうでなくとも今から、傷をつけるんだからな。
「いくぞ」
 肉壁を無理にこじ開けているのがわかる。何もリアクションの起こさなかった公子の口から痛みに耐える音が漏れ出し続けている。声にもなっていない、ただの、音。
「慣れれば気持ちよく、なっからよ……」
 とはいったがここまで辛そうな顔が本当によくなるんだろうか。俺も正直こういったことは初めてだから自信がない。
 少し動いただけで公子の顔が苦痛に歪む。異物の進入を拒むように公子の膣が俺を押し返そうと動き、その刺激だけで、俺はもう出ちまいそうになる。
「出そう……だ」
「……」
 何も言わないってことは、中で出してもいいのか?ゴムをつけてないところは見てたはずだぜ。拒否しない=受け入れるってことだ。俺の男根も、そこから出てくる精子も。
 少し腰を振れば果ててしまえるだろう。最愛の人の中で。しかも彼女は拒否しない。この状況で、ピストンしねぇのは男じゃねぇだろ。
「っはあ!はぁっ、はぁっ、はぁっ……あぁっ……」
 公子の尻に俺の太ももを叩きつける。その度に揺れる胸と、俺をぼんやりと見る公子の顔と、何より公子の体内で俺のモノが扱かれているという事実が、あっという間に俺の性欲を吐露させた。
 少し尻を持ち上げて中から肉棒を引っこ抜くと、赤と白の液体が混ざらずに溢れて布団を汚していく。ああ、血だ。どうやら、間に合ったようだ。


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