――ここは、どこだろう。



気づけば、織はどこかの神社にいた。

真っ赤な鳥居、新しい本殿。

まだ出来て間もない神社なのだろうか。



賽銭を投げ入れ、鈴をがらがらと鳴らす参拝客が列をなしている。

皆、神様へ想いを馳せている、そんな顔をしている。



「――おまえは何を祈る」

「……!」



不意に声が聞こえて、織ははっと目を見開いた。

いつの間にか参拝客の列は消えていて、そして自分が鈴の前に立っている。

見上げればそこにいるのは――大きな竜。

白く美しい毛並みの、あまりにも神々しい竜がそこにいた。



「おまえは、何を祈る」

「……もっとみんなと、仲良くなりたい」

「そうか、では叶えてやろう」



自然と口から出てきた言葉は誰のものだろう。

自分で言っていて、わけがわからない。



織の願いを聞き入れた龍はぐるりと空を周り、そしてさらに天高くへと昇っていく。

そして――姿を、消す。



「待って――待って、鈴懸……!」




_17/227
[ +Bookmark ]
PREV LIST NEXT
[ #novel数字_NOVEL# / TOP ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -