二十九(3)

「……んっ……んん……! ん……」



 かぷ、と千歳が織のアソコ全体を口で覆う。そして、舌でぬりゅぬりゅと穴を責め立てた。そうしながらちらりと鈴懸と織を見上げれば、二人は熱い口づけを交わしている。鈴懸が織の口の中を掻き回すたびにアソコがひくんひくんとヒクつくものだから……千歳は徐々に興奮しだしてしまった。アソコを貪る動きがどんどん激しくなってゆく。



「んー……んーっ……!」



 織は顔を真っ赤にして、そして感じすぎて涙を流していた。すっかり体は熱を持ち、乳首は膨らみ、自身も堅くなっている。股間でぷんっ、ぷんっ、と震えているそれの先っぽからは、とろー……、と蜜が溢れており、千歳はそれに魅入られたように固まっていた。



「……っ、!」



 千歳が、人の姿に変化する。そして……その、優しい手のひらで、ぷる、ぷる、と震えている肉の芽を、そっと包み込んだ。



「んっ……ん、ふ、……んんっ……!」



 虎から人の姿に変わった千歳を見て、織はかあっと顔を赤らめる。虎の姿であっても人の姿であっても千歳には変わりないのだが、人の姿の彼にこういった姿を見られると、なんとなく恥じらいが増してしまうのであろう。鈴懸とのくちづけで蕩けたその瞳で、人の姿へと変わった千歳を力なく見つめている。



「あっ……!」



 千歳の手が……ゆっくり、動き始める。熱いモノを、扱き始めたのだ。溢れ出る蜜を絡めながら、にゅる、にゅる、と遠慮がちに、大切そうに。



「んっ、……! んっ……!」



 織の腰が、かく、かく、と揺れる。しかし鈴懸は、織を逃がさない。千歳に敏感な部分を責められてビクンビクンとしている織の唇にかぶりついたまま、乳首を責め始めた。指できゅーっとつまみ上げ、こりこりと弄くってやる。

 もう、織はとろとろになってしまっていた。二人の神様に、同時に愛でられる。鈴懸も千歳も、蕩ける織を本気で「可愛い」と想いながら触っているから、その愛撫はひどく甘ったるい。砂糖漬けになるくらいの強烈な甘美な快楽に、織はずるずると引きずり込まれてゆく。




「織、……」

「……っ、」



 どろどろに甘い、愛撫。大好きな鈴懸に唇を貪られて、織の体には限界が迫っていた。千歳にいじられているモノが、今にも弾けてしまいそう。熱っぽい視線を送ってくる千歳に、織は視線だけで「だめ」と訴える。

 ……このままだと、千歳の目の前で……イッてしまう。



「――どうした、織……なんで、我慢しているんだ」

「あっ……すずかけ、……だって、……」

「ん?」

「すずかけ、以外の人に、……みられるの、……はずかし、……」



 呪いが浅いせいか、織の理性もある程度働いている。体が快楽を求め、男に触れられることへの抵抗感はなくなっているようだが、恥じらいが残っているようだ。織は顔をとろとろにさせながら、顔を赤くしてぎゅっと唇を噛み、イクのに耐えている。

 ……そんな織は。かえって、淫靡であった。普段から上品な振る舞いを見せる織であったが、こうして激しく恥じらっている姿というのもあまりみられない。鈴懸はそんな織に、興奮し始めていた。

 たしかに、他の男に可愛い織を見られるのは嫌だが。俺のものだと見せつけるのも、悪くない。



「織……大丈夫だ。おまえがイクのは、俺のものだって証拠だからな。いっぱいイけ」

「――あっ……、あぁっ……!」



 鈴懸は唇を織の耳元に寄せ、「可愛い」「イッて」、そうなんども囁き始めた。そして……右手を、織の下腹部に。臍の下あたりに4本の指の腹を当てて、そしてくるくると少し強めに撫でてやる。



「あっ、やぁっ、……だめっ、そんな、っ……そこ、だめぇ……」



 そこには、前立腺がある。腹の上からくるくると前立腺を刺激された織は……挿れられてもいないのに、ナカイキをしたときと同じ状態に陥っていた。鈴懸に耳と乳首を責められ、そしてぱんぱんに膨らんだものは千歳ににゅるんにゅるんと扱かれる。どんなに耐えても耐えてもじゅくじゅくとした甘い快楽は膨れ上げっていき……織は、浅く呼吸をして、絶頂を押さえ込んでいた。

 ――しかし。それは、無駄だった。



「千歳……織のなかに、指。挿れてくれ」

「……し、織のなかに……」

「そうだ。中からも、外からも、織のイイところ、触ってやろう。織のこと、いっぱい感じさせてやるんだ」



「……!?」



 鈴懸が、とんでもないことを言い出す。ぎょっとして織が鈴懸の顔を見上げれば……織の体は俺のものと言わんばかりの獣の性をむき出しにした鈴懸の表情。儀式だからとこの行為に甘んじているというよりも、他人に自分のものである織の可愛い姿を見せることを悦としているような、そんな雄の顔をしていた。

 そんな、鈴懸の表情を見て。急激に織の体に、ゾクゾクと快楽の波が迫り来るってくる。自分の体が、鈴懸に躾られているということを千歳に見られることが……「善い」、そう感じ始めてきたのだ。

 しかし。外と中、両方から前立腺を責められるというまったく想像できないことに、織は少なからず怖気づいてしまう。片側から責められただけで飛んでしまうというのに……両方から、しかも二人に責められるなんて……。



「千歳、男の体のナカを知っているか」

「……しら、ない」

「じゃあ、俺が教えてやるから、一緒に織を可愛がろう」



 きっと、すさまじい快楽に見舞われる。

 はあはあと息をしながら、期待と不安でいっぱいになり二人を待つ織を、千歳が緊張した面持ちで見下ろした。



「……っ、あ、」



 千歳の視線が、織の秘部に注がれる。つるりとした、桃色の穴。まだ、そのナカを知らない千歳は……ドキドキとしながらソコを凝視していた。



「ここに……指、はいる、のか」

「そうだ……優しく、挿れてやってくれ」

「……、」



 ごく、と千歳が固唾を呑む。

 ずっと、恋焦がれていた織。そんな彼のナカに、はいってゆく――それが、千歳にとってはあまりにも刺激的なことだった。しかし、心の奥で暴れ狂う劣情には、逆らえない。呪いによって引きずり出される情念は、千歳の手を、導いてゆく。



「……、え、……すごい、……ここ」

「んっ……」

「……ここに、心臓でもついているのか……? なんでこんなに、脈をうって……」



 千歳の指先が、織の穴に触れる。千歳の指を吸い込まんとばかりにビクンビクンと脈動するソコに、千歳は驚いたようだ。あまりにも淫靡なその穴に、千歳はかあっと顔を赤らめる。

 千歳の瞳に、星が散った。いやらしすぎる光景に、目眩がした。けれど――この、奥の熱に、触れたい。この体を、奏でたい。甘く愛らしい声を、聞かせて欲しい――爆発するように湧き上がる情念が、千歳の理性を砕いてしまった。

 千歳の指が、――織のなかへ、入っていく。



「はっ……あ、あぁっ……!」



 ずぬ……と指が根本まで、挿入される。その瞬間、織はのけぞってビクッ! ビクビクッ! と体を震わせた。指一本挿れただけで感じてしまったのか、ぷるんぷるんと性器をビクつかせながら。



「あ、熱い……指が、溶けそう、……すごい、織のナカ……すごい……」



 敏感な織のソコは、千歳の指をキツく締め付ける。飲み込まんとばかりにギチギチと締め付けてくるその穴に、千歳はまるで未知のものを見たかのような感覚を覚えた。興奮と同時に、驚きを感じてしまう。

 指を挿れたまま固まっている千歳を、鈴懸はふ、と笑いながら見つめていた。織の体の凄さに驚いている千歳を見ていると、嬉しくなる。



「千歳……ほら、もう一本挿れてみろよ」

「は、はいるのか……!? こんなにキツいのに……」

「はいるよ、柔らかいから。優しく挿れてやれば、織も痛がらない」



 鈴懸が織の脚を持って、大きく開脚させてやる。「ぁん……」と小さな声をあげた織に、千歳は唇をぎゅっと噛みながら顔を赤くした。目の前に、大きくさらけ出された織のアソコ。ぷるぷるとしたそこはたしかに柔らかそうで……千歳はどきどきとしながらも、二本目を、挿れてゆく。



「ふ、……ぅっ……ん……」



 織が寄りかかった鈴懸の胸元に顔を擦りつけながら、甘い声をあげた。二本挿れられて、流石に僅かに圧迫感を感じたのだろう。は、は、と息をしながら、織は快楽にもがいている。
 
 鈴懸はそんな織の頭を片腕で抱き込むと、もう一方の手を織の腹へ伸ばす。指先で織の顎を撫でながら、甘い視線を織の下腹へ。



「千歳、ここ。織の、いいところ」

「……ここ、?」

「少し膨らんでいるところあるだろう? そこを、揉むんだ。そうすれば織は……可愛い声を出してくれる」



 とんとん、と鈴懸が織の下腹を指の腹で叩いた。そうすれば、織は「はぅっ……」と声をあげてぷるぷると震える。

 そこにあるのは――織の、前立腺。外側から軽く刺激する鈴懸を見て、千歳は呆然としながらも指をぐっと内側に押し込んだ。ぷくっとしたところを押せば――……



「んっ……は、ぁんっ……!」



 織が腰をくねくねとさせて、喘ぎだす。その姿はそれはそれはいやらしく、千歳は思わず見入ってしまった。



「可愛いぞ、織……」

「ぁっ……や、……それ、……あっ……い、っちゃ、う……」



 鈴懸は猫でも撫でるように織の顔を撫でながら、下腹をごりごりと揉み込んだ。そして千歳も、興奮に口元を引きつらせながら、内側から前立腺を押し上げる。鈴懸の手と、千歳の指、それらに挟み込まれるように、織の敏感な部分は責め立てられる。



「織、かわいい」

「……すごい、綺麗、……織」



 鈴懸は掬い取るようにして織の唇を奪い、そして千歳は白くやわらかなそのふとももに吸い付く。くぐもった三人の声と、くちゅくちゅと溢れるいやらしい水音。二人の男に責められて、織のしなやかな体は淫らにくねる。



「ん、んんっ、――……!」



 艶めかしく、しっとりとじわじわと、快楽は織を襲う。やがて――織のものから、ぷしゅ、と透明な液体が吹き上がり、ちょろろ……と儚くそれは流れでた。

 千歳が、動揺して手を止める。しかし、鈴懸はそんな千歳を誘うように、下腹を撫でる手の動きを大きくした。ぐいんぐいんと手のひらで強く下腹を刺激していけば、潮がぷしゅ、ぷしゅ、と飛び出してくる。淫猥すぎる光景に千歳は目が飛び出そうになったが……そのまま引きずられるようにして指の動きを再開させた。鈴懸の動きに合わせるように織の腰ごと動かす勢いでナカを揉み上げれば、織の腰がビクンッ! と跳ね上がる。



「気持よかったか、織……」

「ぁ、……」

「そうか、……じゃあ、早速……儀式をやろうかね」



 ぷすん、ぷすん、と潮を吹き終わって呼吸をしている織のモノ。織は潮吹きを終えて、くったりと鈴懸に寄りかかっている。はふ、はふ、と弱々しく息をしながら、熱っぽい瞳で千歳を見つめていた。



「さあ、千歳」

「……、竜神、……おまえ、いいのか、」

「……俺じゃない。織に問え」



 ゆっくり、千歳が織と目を合わせる。

 自分でも制御できない劣情が、熱を湧き上がらせる。今すぐに、何もかもを捨てて織と一つになりたい――そんな想いが、千歳の体内に充満する。けれど、僅かに残る、千歳の理性。織の想い人は鈴懸だというのに、このまま抱いてもいいのだろうか……そんな不安が、千歳の情動を制御する。

 ぐ、と唇を噛みながら見つめてくる千歳に、織は優しげに目を細めた。曖昧な意識。いつもよりも弱い呪いのせいで、清純と淫乱がせめぎあう。大好きな人の前で抱かれる抵抗感、一途に自分を想ってくれる千歳に抱かれることの喜び。中途半端に意識が残っているからこそ織は辛かったが――働いたのは、「呪いを解かねば」という想いだ。呪いを解かねば、千歳も、鈴懸も――そして自分も、幸せにはなれないだろう。



「千歳さま……」

「……、織、」



 織は自らの脚を抱え込むと、脚を開きびしょびしょに濡れた股間を千歳にさらけ出した。そして、そんないやらしい格好をしながら、清純に顔を赤らめ、長い睫毛で瞳の奥の熱を隠し、清らかに囁いた。



「……千歳さま、抱いてください。どうか、……織を、優しく、抱いて」
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