君の世界に色が付く。

 涙の身体が落ち着いてくるころには、ちょうどいい時間になっていた。夜も更けて、俺達は布団を被る。俺は涙を腕枕してやって、涙は俺にぴったりとくっついてきて。ちなみに涙はエッチをしたときの格好のままだから、下は履いていない。いよいよ恋人っぽくなってきたな〜、なんて、にやにやしてしまう。



「涙……どうだった、恋人一日目」

「……え、えっと……」



 今日、涙は楽しかったのかな。そう思って聞いてみれば、涙はかあっと顔を赤らめて口ごもってしまった。「えっと」「あの」を繰り返して、なかなか言葉を紡ごうとしない。そんなに特別なことなんて言わなくてもいいんだけどな……と俺が苦笑してみれば、涙は慌てたように顔をあげて俺を見つめてきた。



「す、すごく……あの……その、……し、……しあ、……」

「しあ?」

「……っ」



 涙はもどかしそうに、唇を噛む。でもやっぱり言葉は出てこなくて、涙は悲しそうに俯いてしまった。

 ……涙は、なかなか自分の思っていることを言えない。それは、わかっている。だから俺は……涙の仕草とか、表情とか……それから目とか。それらで涙の考えていることを汲み取れるようになりたい。

 涙は何を言いたいのだろう……その答えを導くのは、そう難しいことではないように思える。



「涙」

「あっ……」

「俺、今日、すっごく幸せだったよ。ずっとこのままでいたいって思った。涙は?」

「……、」

「涙も同じ気持ちだったら、キスして」

「……!」



 きっと、涙も俺と同じ。恋人として過ごした今日一日は、幸福で満たされていた、そのはず。だから涙にそう言ってやれば、涙は迷いなく俺にキスをしてきた。



「……ゆき」

「ん」

「ゆき、」



 ちゅ、ちゅ、と何度もキスをしてくる。俺は涙に抱きついて、キスに応えた。

 ああ、ずっと、この幸せが続けばいい。何度も何度もキスをして、俺は心の中で祈っていた。そして、気づけばゆるやかに眠気もやってきて、幸せでいっぱいのまま、瞼が落ちていった。



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