君の世界に色が付く。

 俺たちが浴室から出たときだ。親が帰ってきた。ぱたぱたと騒々しく足音を立てながら、リビングの扉を開ける。



「ああ、ただいま! 相変わらず芹澤くんと結生は仲良いのねえ」

「おかえりー。うん、仲良いよ」



 そのとき、俺たちはリビングのソファで髪を乾かしていた。髪を濡らしっぱなしでエッチをすると涙が風邪をひいてしまうかと思って、髪だけ乾かしていたのだ。俺がソファに座って、その下に涙が腰を下ろし、俺が涙の髪をドライヤーで乾かしてやる。浴室の中の火照ったままの身体だから、涙のものはまだズボンの中で勃っていて、体操座りをしているから母さんからは隠せているようなもの。敏感なままの涙の身体は、俺が髪の毛をかき混ぜるたびにぴくぴくと震えて、こんな髪を乾かすという行為にすら感じていた。



「あらら、芹澤くんぐったりして。遊び疲れたの?」

「涙は大丈夫だよ、のぼせてるだけだから」

「そう? ちゃんとお水飲ませてあげてね」



 母さんは涙の様子に違和感は覚えていないようで、いつもの調子で話しかけてきた。まさか俺たちが付き合っているなんてことも知らないし、当然といえば当然かもしれない。

 母さんが離れていったところで、俺は一気にわしゃわしゃと涙の髪を乾かしてやる。そうすると涙は両手で口を塞ぎながら、「ん、ん、」と小さく声をあげた。



「涙、こんなんで美容室とかいけんの? 頭触られてまで感じてたら大変じゃない?」

「……美容室は、……触られるのはちょっと嫌だけど感じるってわけじゃなくて、……」

「……やっぱ俺に触られると感じちゃう?」

「……うん」



 可愛いなぁ。

 優しく髪を梳いてやれば涙からほわっと幸せそうな空気が溢れてくる。付き合う前からは考えられないくらいの、この好き好きオーラがたまらなく可愛い。



「髪、乾いたな」

「……ん」

「部屋いく?」

「……うん」

「これどうにかしないとな」

「ん、ゃっ……」



 ズボンの上から勃ったものの先っぽを指でくるくると撫でると、涙が小さく声をあげる。そして、振り向いて甘えるように腕を俺の首に回してきたから、そのまま抱きかかえて立ち上がった。




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