君の世界に色が付く。

 二人でつくったご飯は、ものすごく美味しかった。今まで世界で一番美味しいのは母さんの料理だと思っていたけれど、今回はこっちに軍配があがる。

 たぶん、味の問題ではない。涙とつくったから、涙と食べているから美味しいんだと思う。相変わらず涙はご飯を美味しそうに食べるし、それに俺のことをちらちらと見ながら照れ臭そうにまた顔を伏せてもぐもぐするなんていう可愛い仕草をしてくるし……見ていてきゅんきゅんが絶えない。俺たちはそこまで会話が多くはないけれど、二人の食事は楽しかった。



「あー、もう8時か」

「……夜だね」

「そうだなー。風呂はいっか」

「うん。……じゃあ、俺は先に部屋に……」

「え? いやいや待て待て」



 ご飯を食べて、あとはお風呂に入れば今日やることはおしまい。残り時間をいちゃいちゃに費やする。それが俺の計画。だから、ここは早いところお風呂に入ろうとしたわけだけど……そそくさと俺の部屋にいこうとした涙を、俺は引き止めた。



「な、何だよ……?」


「いや一緒に入るだろ」
「はっ!? な、何言って……」

「おまえこそ何言ってんだ! 一緒に風呂、入りましょう、涙!」

「ま、待って、恥ずかし、」

「エッチなことしてんだから今更はずかしがんな」

「で、でも……!」



 恋人になったんだ。二人で狭い浴槽にはいって密着甘々入浴タイムをしたい。やたらと恥ずかしがって抵抗する涙を、俺はずるずると引きずって浴室に向かっていった。




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