金色の午後の日差し、白黒の海。

「えっ」



 登校してすぐに出会った彼らを見て、俺は思わず声をあげてしまった。



「あ……結生。おはよ」



 教室に向かう廊下で出くわしたのは、涙と……なんと、春原。俺は、春原が学校に来たことにも驚いたし、何より……二人で一緒に登校してきたというのにも驚いてしまったのだ。

 昨日から、涙が春原と話をしていたそうにしたから、もしかしたら昨日涙は春原と会っていろいろと話をしたのかもしれない。事情の飲み込めない俺は、それくらいしか想像できなかったけれど、涙がこころなしかすっきりとした顔をしているから、よかったのかな、なんて思う。



「……話、できたんだ」

「あ〜、うん」

「なに、その微妙な感じ」

「あとでちゃんと話すよ」

「えっ、何、気になるんだけど」



 でも、涙の様子がなんというか……変だ。いや、前みたいな、見ていて不安になるような「変」じゃないんだけど。

 何を隠しているんだ、とじっと涙を見つめてみれば、涙が迷ったように視線を泳がせている。この顔は……後ろめたいことではないけれど、言いづらいこと、みたいな感じ。余計に気になるんだけど……なんて、俺がじりじりと涙に迫っていけば。



「あ、あの……俺、生徒会室に荷物あるからとってくる」

「あっ、ゆう」



 春原が妙に顔を赤くして、そう言い残して俺たちから逃げていった。

 ……え、アレ春原なの? なんか雰囲気ちがくない? とかいう突っ込みは置いておいて、なんで春原があんな風に恥ずかしそうにしているのかが気になる。とても気になる。



「る、涙……本当に話をしただけ?」

「い、いや……えっと……」

「ま、まさか体でふか〜いお話合いとかしてないよな!?」

「なんだよその言い回し! してないから! 変なことはしてない!」



 もちろん涙のことを疑っているわけではない。でも、一晩で春原に何があったのか、気になって仕方ない。春原が元気になったのならそれでいいんだけれど、不登校になる前とはあまりにも様子が違うものだから、詳細が気になって仕方ないのだ。

 涙も逃げ出してしまった春原のことが気がかりらしい。一応意見が一致したので、俺たちはこっそり春原の後を追いかけることにした。



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