触って溶かしてあげましょう。

「あらー、また遅いのね、おかえり結生(ゆき)」

「ただいま〜。ご飯ある?」

「食べてきてないの?」

「んー、食べてきたけどなんか食いたい」

「まあそうだろうと思って用意してあるから、さっさと手を洗ってきて」

「ういー」



 家に帰ると、母さんが出迎えてくれた。俺が帰るといつも玄関まで出てきてくれる、優しい母さんだ。はやく母さんの作ったご飯食べたいなと思って洗面所に向かおうとした俺を、母さんは「そういえば」と言って引き止めてくる。



「遅刻早退しすぎって連絡きたわよ」

「……出席日数足りてるから大丈夫だって」

「それは卒業のでしょ!卒業はできても大学いけなくなるわよ! せっかくエスカレーターでいいところいける高校なのに」

「……うっす。明日からたぶん真面目に学校いきます」

「たぶんじゃだめ!」



 母さんに言われて、しまったと俺は焦る。俺は小学校からエスカレーター式のこの学校に通っているわけで、ここでそのまま大学にいけなかったら、ここまで学費を出してくれた親に悪い。エスカレーターだしと遊び呆けていたけれど、さすがに遊びすぎたかと今更のように反省する。

 明日からは全部授業でるか……と俺はため息をついた。芹澤と顔合わせ辛いなと思った手前だけれど、こればかりは我慢するしかない。




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