夏戦 | ナノ

 暑さに負ける

HRが終わって今学期最後の部活や夏休みに向けてのミーティングに行く子もいれば、仲良く友達と予定や宿題の話をする子もいたけど、私は詰めきれていなかった荷物を詰めて、すぐに家に向かう。どうせ話し相手なんていないし。
あぁん?悪いかバカヤロウ!
今がダメでも将来誰よりもいい友達といいお婿さん貰ってやるんだから!!
ごめん調子こいた嘘です。自分が結婚した姿とかミジンコほども想像できないね。

帰り道、中学生のお財布事情も考えながら先生にバレないように少し寄り道してコンビニでアイスを買って食べた。
でも外はこのざま、すぐに溶けてしまう。
開封してすぐなのに手がベトベト。
それに9月までこれといった予定がない事を思い出せば、ぶわっと汗が噴きでて頬を伝った。なんかもう拭う気すらない…
帰ったら手を洗うんじゃなくてシャワーを浴びよう。そのほうが絶対にいい。間違いない。にしても昨日の方がもう少し汗の出も少なかった気がするんだけど、帰宅時間の違いかなぁ。昼だしな、太陽も真上だしそりゃ暑いか。

学校から家までは少し遠くて、駅を2つ跨ぐ。
規定された中学校に行けば自転車で10分もかからないそこそこ楽な通学ができたのだろうけど、わざわざここまで時間をかけて通学する道を選んだのにはそれなりの理由がある。
頑張って勉強して私立の中学に入学したのは、小学校6年間で出会ってしまった人と離れるためだ。
家族と話すときとは違って他人が苦手な私は、物心ついた時からコミュニケーション能力はかなり低く、人見知りも激しく、もちろん仲のいい友達もできなかったし、軽くいじめの対象でもあった。

そうだよね、体育のペア決めは常にあぶれ、休み時間は一人読書の私はみんなにとって格好の餌だったよね。
うん、私そういうのちゃんと理解してるよ!!
どうせ2学期始まったらそろそろみんな本性出すんでしょ?知ってる!
でも簡単にはさせません。置き勉は極力してないし上履きはいつも持ち帰ってるし。持ち物の管理は気をつけてるし。理解しててもされるのはやっぱり不愉快だから。置き勉が極力なのは流石に毎日重いカバンで通学するのはきつかったりするからです。通勤通学ラッシュの満員電車で重い荷物を手にするのはかなりきついんだよ。

もちろん過去6年の経験から、高校は別で受験しようと考えている。
エスカレーター式でもよかったんだけど、高校は別で行きたいと決めている学校があるんだ。

久遠寺高校って言うところに物理部があるらしくて、噂によるとPC部とかオタク部とか変な名前もついてるらしいけど、とりあえずパソコンを触れるらしい。ただパソコンを触れるだけならコンピューター部やら情報処理部だとかでもいいんじゃないかって話だけど、久遠寺高校の物理部に今いる人が何やらOZ関連のことをやってるとかやっていないとか…
まぁ、部活でOZが出来るなら私はそれでいいや。素晴らしい楽園じゃないか。下手したら拠点が家から学校になってしまう可能性も少なくない。毎日最終下校時刻まで居残る可能性もないとは言えない。

夏の暑さでぼーっとしながら過去を振り返ってみたり、訳のわからんこと言い出した私の脳内は一旦シャットアウト。
もうしばらくはそんな考えしないよ、だってエアコンのきいた部屋でこれからゴロゴロするんだからね。
待っててマイハウス!マイルーム!マイパソコン!そしてシャワー!お腹空いたしお昼ご飯も楽しみだなー!

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