▼ 見知らぬ彼
混乱して、ついには自問自答を始めた私。
「どうしよう、大おばあちゃんのところに戻る?そんな恥ずかしいことはしないよー。絶対しないんだから、死んでもしないんだから。これ以上黒歴史増やしたくないもん。親戚の人誰か通らないかな? いやいや、そんな都合いいことあったら世の中困らないって。あ、そうだね。世の中うまくいきすぎて大変な事になるじゃん。ほんと、何処なの。直進?左?右?あ、でも右は違う、あっれ」
だから気づかなかった。
目の前に、都合いいことあったら世の中困らない、その親戚の方がいたことを。
「何してるの」
そこには見たことない褐色の肌に、右目を髪で隠した男の子がいて、由美さんや典子さんや奈々さんの子じゃないから、多分他の親戚の人だと思う。
いや、思うじゃなくて間違いないんだけど。部外者いたら逆に困る。
でも一応聞かないと間違ってた時が怖いからね!安心第一!
「み、道を…あ、もしかして、親戚の方…ですか?」
そしたら目を見開いて男の子は
「えっ、…ナマエさん?」
なんて言うから驚いた。
とっさに「えっ?えっ」って聞き返しちゃったけど、なんで私の名前知ってるんだろ?万理子おばさんから聞いたのかな。
「ごめん、何でもない。」
いや、何でもない事はなくない!?
名前知ってる事は悪くないからね別に!うーん、まぁいいや。
脳内で誰かがよくないでしょ!って言ってるけど気にしない。気にしろって言われてるけど気にしない。エンドレスで繰り返しそうだから…気にしない!
「はぁ…じゃあ私大広間に行きますね……あ」
言ってから気付く。
今、なまえちゃん絶賛迷子だろ。自慢じゃないけど。
目の前の男の子は軽く溜め息をついて道を教えてくれた。
「ここを直進していけば、すぐに分かるよ」
神だ、君が神に見える…!
ありがとう!この恩は何かで返すよ!
「本当ですか?!あ、ありがとうございます」
お礼も程々にすぐさま走り出せば、大広間へ駆け込み、「お手伝い遅れてすいません!」と言うも子供たちがスイカを食べているだけで、女性陣は誰もいなくて、またしても「「しーっ」」と人差し指を向けられ黙るように指摘され、苦笑しながら黙って、台所を捜すはめにあうのでした。
長い一文だな。
私こんな長い一文話せるのか。ちょっと感激。それに今回つまらないで話せた。子供達しかいなかったけど。
第一印象:褐色、タンクトップ、無愛想、不思議
これが私たちの現実での出会い。
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