夏戦 | ナノ

 それは5段階評価の1で表されるくらいに

気温よりも暑いんじゃないかと思う抱擁が終了した直後、「夏希ちゃん待たせてごめんねー、って美南さん!」と、パーマのかかった髪をしばった女性とその子供らしき男の子と女の子が走ってきた。
目の前で何が起こってるんだろう。
もしやまだ目が覚めずに夢の中なんだろうか。
はたまた夢と現実の狭間にいるのか。

「典子さんに、真緒ちゃんに真悟くん!3人とも一緒だったのね!」
きゃー会えて嬉しいわぁ。ほんとほんと。あはは!!

もうすでに心折れた。みょうじなまえ終了。あははは!!じゃない。
だってお母さん以外に知らない人がひーふーみー…5人だよ?すでに5人だよ?大事だから何回も繰り返すけど。たったの5人じゃん、じゃなくてね。私には5人すらもう駄目なの…
むしろ知らない人が1人いるだけでも黙りこくるのに…
どうしよう、先に電車乗ってこようかな。

「あれ、もしかしてそこにいる子なまえちゃん?」
「そうそう、今年は行けるっていうから連れて来たの」

正確には脅されて来たんですけどね。

「いやー、すっかり女の子じゃない。今いくつだっけ?」

「えっ、あ…その、ちゅ……中1、です」

噛みすぎだろ!詰まりすぎだよ!
さすがに恥ずかしいわ馬鹿!

「私のこと覚えてないよねぇ、10年も会ってないから」
「すすすすいません」

あはは、は。嫌味っぽいな。つら。
もう大きく笑ってやろうハーハッハハハ。

「なまえ、ちゃん…?」
「あ、はい…」

誰だ、誰だ誰だ誰だ、どこの人だ。
私はこんな美人な知り合いなどおらぬぞ。

「〜〜っ。久し振り!!」

抱き締められたあぁあ!
夏希ちゃんって言われてる凄く大人っぽい人に抱き締められた!
ど、どうすればいいのですか!

「あの、あ、あ、の」
「私の事分かるかな、小さいとき一緒に遊んでたんだけど…」
「ご、ごめんな、さい、その記憶、全くと言っていいほど、な、なくて」
「なまえちゃん、言葉詰まりすぎだよー」

もう勘弁してください
コミュニケーションは苦手分野なんですー!!

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