夏戦 | ナノ

 なんて失態

どうやら私は笑い疲れて眠ってしまったらしい。
気付けば自分の部屋で寝てた。

現在時刻は明け方5時15分。
大丈夫、新幹線は7時発のに乗るって言ってたし。
けど…

「どうしよう…今から寝るの迷うな…」

二度寝しちゃうと起きれなさそうだし、かと言って寝ないのは辛そうだし…
あ。眠かったら新幹線の中で寝ればいいか…そうしよ。
お母さんたちの起床時間は6時だったはずだから、その時間になればリビングに行けるわけだ。

じゃあそれまでの間何しようか?
持ち物の確認?それはもう3回もしてる。OZ?駄目、休暇中。宿題?そっか、宿題だ!!
読書感想文とかは本持って行って上田で書けばいいし、美術作品もぱぱっと終われるはず。
各教科のワークを少しでも進めておけばいいんだ!
キャリーバッグの中に入れてあった勉強道具を引っ張り出し勉強机へと向かう。
隣の机の上にあるパソコンには目もくれずただ計算を解き、歴史の教科書を漁って…

それから私は宿題を黙々と進めていった、と思う。
なんていうか…途中から記憶がないんだよ。
つまりは半分寝ながら宿題やってたらしい。
凄いな自分。
机にごつりと頭がぶつかる音と痛みで目と頭が覚醒して、気づいたらワーク終わってた。
文字がミミズになってないか、とか、ちゃんと解けてるかすっごい不安なんですけど…

「うわ、なんか間違いばっかありそ…う、って全然見つからないんだけど?!」

何この集中力!
ちょっ、これからこれ実践しよう。絶対テスト勉強とか集中できるわ!
あっ、というか今何時だろ?
椅子から慌てて降りて布団の上にある目覚まし時計を手に掴む。

6時20分…

見間違いかな。

寝ぼけてるんだね、はい目擦って擦ってー。

6時21分

嘘でしょ!?
いや、うん、まぁ確かに45分で5教科のワークが終わるとは自分も思わないけど!!
21分オーバーしてる!遅刻じゃん!
私は急いで階段を駆け下りた。
お母さんはすでに化粧をしていて、お父さんは今日は仕事に行ったらしい。

「何で呼びに来てくれないの!!」

昨日のオムライスからの愛の気・持・ち・は一体なんだったんだ!

「えー、私ちゃんと呼んだし。見に行ったけど見事に寝ながら宿題やってたから、我が娘ながらに凄いって思ってそれをビデオに収めて、満足したから自分の朝食に戻っちゃった」

お母さん???可愛く言っても私は許さないぞ?!!!

「困るのはあんたもだろうがあ!!!」

朝から響き渡るのが私の怒声なんて、近所の人もかわいそうに。

prev / next