本能が求めた
WJ
銀魂
相手)土方十四郎
ヒロインは土方の恋人。真選組女中


土方side

今日は1ヶ月振りに※※が、真選組へと帰って来た。故郷にいる母親が倒れたと父親から電報が届き、近藤さんが長期休暇を言い渡したのだった。
あの時の※※の青ざめた顔が、未だに忘れられない。抱き締めた腕の中で小刻みに震える※※の姿が、俺の身体に感覚として覚えている。
だが先日、看病をしていた※※から母親の病はすっかり完治した、と連絡があった。近々、帰れそうだと……。そして今日、また真選組の女中として働くべく帰って来たのだ。
※※は隊士だけでなく、女中達にも人気があった。真選組へと戻った時、心配していた連中が総出で※※を出迎えた。
おいおい、ここはまず俺の出番だろうが。感動の対面はなしか!連中に囲まれて、※※になかなか近づけない。皆に好かれるのはいいが、恋人である俺が近づけないとはどういう事だ。
苛立ち始めた時連中を分けるようにして、一番会いたかったアイツが俺の目の前に姿を現した。少し疲労感が垣間見えたが、1ヶ月前と同じで相変わらず美しかった。彼女の元気そうな姿を見て、とりあえず安堵する。

「母親の病は、もういいのか?」

『はい、お陰様で。すっかり元気になりました。真選組の心遣いに感謝します』

「家族を大事に想うのは、当たり前の事だ。とにかく、良かったな」

優しい笑みで告げる。
会話をして改めて、※※が真選組に帰って来たのだと実感した。母親が病を患ったというのに、※※が帰省してから早く帰って来いと願ってばかりだった。
本来なら、母親の病の回復を願わなきゃいけないのにな。それなのに俺は、※※に会えなくて寂しいという想いばかりだった。不謹慎な男だと、我ながら情けなくなる。
離れている親が病に倒れてしまうのは、※※にとってどんなに怖いことだろうか。こんな時こそ、俺が支えてやらなくてはいけない。

「※※も疲れただろ。今日は、ゆっくり休め」

彼女を気遣って、らしくない優しい言葉をかける。柔らかい笑みを浮かべる※※。愛おしく思う。俺達に気を使ったのか、いつの間にか周りには誰もいなくなっていた。

「どうした?」

『私……』

「ん?」

『十四郎さんと会えなくて、凄く寂しかった。子供みたいだと、怒られるかもしれないけれど』

「そうか。それなら、俺と同じだな」

『え……、今?』

「さぁな。部屋に戻る」

俺はフッと口元を緩ませると、※※に背を向ける。副長という立場だ。いつまでも、甘ったるい感情に浸っているわけにはいかねェ。俺も、本来の業務に戻らなくてはいけない。
だが、久しぶりに会う恋人と愛を確かめ合う時間をとやかくいうような、ゲスな事を近藤さんは言わないだろう。

「※※」

『はい』

「来いよ、甘やかしてやる」

※※に向けて手を伸ばす。彼女はやや躊躇っているようだったが、その頬にはほんのりと朱が広がっていて。
※※は恥ずかしそうな顔で俺の手に、そっと手を重ねた。
今日はこの手を離さない。

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