「なんだ、お前だけか。相変わらずシケた面してんな」

「そっちこそ久々に会った同僚に即失礼だなぁイルーゾォは。てかなんか焼けてない?」

「あ?あー海行ったからな」

「誰と行ったの?イルーゾォ、友達いたっけ?」

「友達くらいいるわ、バカ!!」

「何ムキになってんの?……あ!もしかして女の人と行ったの?ウッソ!?!?!?マジ!?!?!?」

「そんな驚く事か?」

「いや、だって我が儘でいちいち煩いイルーゾォと一緒に海に行くような女の人がイタリアにいるとは思えなくて」

「いるわ!!!!ハッキリ言い過ぎなんだよ、テメー」

「正直者なんで、つい」

「つい、じゃあねぇよ」

「えー誰?誰?今度も美人でしょ?イルーゾォ、顔で選ぶもんね?」

「やけに食い下がるな。オレの女にそんなに興味ねぇだろ」

「"オレの女"って」

「何笑ってんだよムカつくな」

「よォ!オメーら、こんなところで何してんだァ?クーラーで涼んでねぇで海行け海!ビキニ着たオネーチャンたちがうじゃうじゃいる夏が終わっちまうぞ!」

「うわ、ウェイ系サーファーみたいな人来たよ」

「ホルマジオ……オメー益々カタギに見えねぇな……」

「おっ!イルーゾォ!オメーは焼けても白いままだなぁ!」

「煩ェ。近寄るな、暑い」

「ホルマジオは真っ黒だね〜」

「まさか今年は夏休みがもらえるとはねぇ……ボスも粋なことしてくれるじゃあねぇの」

「それで毎日海に行ってるんだ」

「おう。だから、なぁ?"イルーゾォくん"」

「!!ヤメロ!」

「え?何?」

「この前海でコイツと偶然会ったんだよ。あの花屋の子覚えてるだろ?」

「前のアジトの近所にあった花屋のお姉さん?」

「そうそう!その子と一緒にいてよォ。イルーゾォのヤツ、“イルーゾォくん”なんて呼ばれてて」

「えー!?くん付け?」

「ヤメロって!!」

「まだ付き合ってもいねぇ雰囲気が初々しかったぜ〜!」

「え、付き合ってないの?さっき“オレの女”とか言ってた癖に……」

「イルーゾォ……後輩に意気がるのもほどほどにな」

「煩い!煩い!煩い!オレの恋バナは金輪際許可しないッ!」

「あッ!逃げた!」

「しょうがねぇなァ。ギアッチョも呼んで三人で海行くか!!裏でヌーディストビーチになってるってソルベたちに聞いたんだよ」

「絶対ヤダーー!!」




製氷機と瞬間湯沸し器 その18

この騒がしさがあってこそ日常

2020/09/01〜2020/10/04


穏やかな日常だった



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