▼プレゼントとベッリーナ

「アデレード、日曜日空いてるか?」

「ブチャラティ。ええ。空いてるわ。デートのお誘いかしら?」

「デートはその内改めて誘うよ」

「それじゃあお仕事?」

「あ、あー……いや、」

「なぁに?」

「……俺の誕生日なんだ。アジトでパーティをしようと思うんだが、アデレードに来てほしくて」

「ああ!そうなの?そうならそうと早く教えてちょうだい」

「来てくれるか?」

「Certo!ドレスコードはあるのかしら?テーマは?」

「普段通りの君で来てくれるだけでいいさ」

「解ったわ。楽しみにしてるわね」




『Buon compleanno!』

「Grazie!」

一斉にクラッカーを鳴らして全員でブチャラティを祝うと、落ちてくる紙吹雪の中でブチャラティは照れくさそうに笑った。
ナランチャとミスタが我先にとブチャラティにプレゼントを差し出す。

「ブチャラティ!これ!プレゼントだぜ!」

「オレからもな!」

「おめでとうございます、ブチャラティ」

「いつもありがとうございます。ほんの気持ちです」

「おめでとう。オレからのプレゼントは冷蔵庫に冷やしてあるぜ」

その後からジョルノとフーゴが渡し、アバッキオはキッチンの方を指差して不敵に笑った。ブチャラティも察して同じように笑うと軽く頷く。
プレゼントを渡し終えたメンバーは主催のブチャラティが用意したピッツァやデリ、酒を取りに行った。
彼らと入れ替わるようにアデレードがブチャラティの傍へやって来る。

「Tanti auguri,ブチャラティ」

「Grazie,アデレード」

アデレードがブチャラティの頬にバーチをして、プレゼントを渡した。ブチャラティもまたアデレードの頬にバーチを返しながらそれを受け取る。

「気に入ってくれると良いのだけれど」

「アデレードから貰うものなら何でも嬉しいさ」

「ふふ、開けてみて」

アデレードに促されてブチャラティがプレゼントを開くと、黒いメンズボックスが中に入っていた。
蓋に嵌め込まれたガラスにはBrunoと名入りされている。

「Che bella!」

「気に入ってくれた?」

「Certo!オレの名前まで入れてくれて嬉しいよ」

「良かった。色々悩んだのよ。どんな物ならあなたが一番喜んでくれるか」

「困らせちまったな」

「No,あなたの事を想ってプレゼントを選ぶのはとても楽しかったわ」

「……そうか」

ブチャラティは手を伸ばしてアデレードの頬に触れる。その擽ったさにアデレードがふふふ、と微笑みを零したのでついグッと顔を近付けた。

「欲張りね」

アデレードは人差し指と中指の二本でブチャラティの口唇を止め、彼の隣から離れてしまう。

「パーティの主役が抜け出すような真似はしちゃ駄目よ」

「二人っきりなら良いのか?」

「それはあなたの努力次第よ、ブチャラティ」

チュッと投げキッスを寄越してアデレードはキッチンへと姿を消す。
ブチャラティはその後ろ姿を見つめながら、グラスに注がれたシャンパンを一気に飲み干した。





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