「ルーシィってさ、ひどいよね。」
「…何が?」
シャワーから出てきて髪を乾かしてるとぼぞっと囁かれた一言に後ろのソファーに居るレオを見ると少しふてくされたような表情をしていた。あれ、どうしたんだろう。なんか怒って、る?あれ、でも怒らせるようなことなにかしたかな。ていうか、いつの間に…あたし別に呼んでないんですけど…。とは言えない雰囲気だ。オレンジ色がかった金色の髪の毛をふわふわと撫でてみた。
「なぁに?怒ってるの?」
「怒ってないよ、ただ…」
「ただ?」
「……ルーシィは皆のルーシィだなって思って。」
「いやいや、どちらかと言えばあんたのほうが皆のロキで…」
そう言えばじろりと睨まれた。いや怖いんですけどお兄さん?だって雑誌の表紙とか飾っちゃうしファンはたくさんいるし街を歩けば女子が寄ってくるし、どう考えても皆のほにゃららはロキでしょ、と付け加えてみた。
「そんなことないよ。てゆうか、僕に寄ってくる女の子は皆ただのファン(たまに本気)だけど、ルーシィはみんなルーシィのことが好きでしょ。ナツもハッピーもグレイもガジルもその他大勢みーんなルーシィに恋してる。」
「いやいや、ナツは知らないけどグレイはジュビアがいるしガジルはどちらかといえばレビィちゃんだと思うけど。その他大勢って、もう少し名前言ってあげなさいよ。」
ああ、この子はほんとに冗談にも真面目に答えて…。そうゆうズレたところも魅力の一つだ。僕だって、なにも全員がルーシィのことを好きだなんて考えてるわけじゃない。そうじゃなくて、みんなに大事にされて彼女は普通に接してるつもりでも実は付け入られる隙だらけだってことを教えてあげようとしたのになんだかどんどん話がずれていく。おまけにじっと見つめれば人を煽るように顔を赤くするし、こんなこと万が一、他の奴の前でしちゃったらって考えたら僕の中に黒い感情が渦巻いたってしかたないでしょ?
「ルーシィ、その顔誘ってる?」
「え?い、い、や、なん」
「ルーシィは隙ありすぎ。」
「ちょ、なに言って」
詰め寄るように顔を近づけられ、あたしはずりずりと後ずさる。そ、そんな綺麗な顔近づけてこないで、、顔真っ赤だよきっと。ロキの綺麗な喉仏とか少しはだけたシャツから見える鎖骨とか見てない、断じてみてない。見たらやばい、確実に鼻血が。
「ちょ、ちょっと、は、はなれて。」
「やだ。ルーシィが悪い。」
「あ、あたしなにもしてない。」
「してるよ、毎日みんなを誘惑してる。」
ほら、こんな服着てさ、なんてロキがキャミソールから出たあたしの肩を指でなぞり始める。やっとか口から声が出た。
「下着もつけてないし…やっぱり誘ってるよね?」
「…ち、ちが、あ、や、やめ…」
ロキの長い指がキャミソールの上からピンと浮かび上がるそれをつまんでくる。もう勃たせて、期待してた?なんて恥ずかしいことこの上ないことまで言われて、頭の中が真っ白になって、これから与えられそうな甘い痺れに委ねそうになる、けど。
「あ、あのね?レオ。」
「ん?え?」
レオ。
完全に油断した。レオなんて普段呼ばない彼女に完全にやられた。気付けば彼女の小さな手が僕の頭をゆるゆると撫でていて、だけどその顔は恥ずかしいのか赤く染まっているし瞳はなんだか潤んでいる。僕が目を丸くして見つめていると唇に優しくあてられたそれ。一瞬だったけど確かにそれは彼女からのアクションで、僕はなんだかいろいろとパンクしそうだ。
「ル、ルーシィ、あの。」
「…あたしに触れていいのはレオだけよ?」
「……え、あ、うん…。」
「レオに触れていいのも、あたし…だけ。」
あ、やばい鼻血出そう。ルーシィがそんなこと言ってくれるなんて、僕明日死んでもいいかも。
「だから、ね、その、変な心配しなくてもあたしはちゃんと、あんたしか見てないから。」
変な汗だくだくでそう言えば、珍しく真っ赤な顔したロキがいて、ああ貴重なもの見れたなあとぼんやり頭の隅で考えたり。でも全部ほんとのことで、あたしはもう悔しいけどロキなしじゃ、
いられないと思う。
わたしはすっかりきみのもの
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