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 ややあって、彼女は一人頷いて、僕に顔を寄せてきた。
 顔を見ていれば分かる。彼女の緊張の度合いとか、心の中でどんな葛藤が繰り広げられているかとか。
 正直、止めてほしそうに見えるくらいに、緊張が伝わってきたのだけど。
 でも、せっかく彼女が言ってくれたことだし、お言葉に甘えるとしよう。
 たぶん今、僕が止めると逆効果だろうし。
 こんなチャンス次はいつ来るかも分からない、し。

「……ん」

 掠めるだけの可愛いキスから、恐る恐るくちびるを割って舌が入ってくる。
 軽く舌で遊んでやると、眉を寄せて小さく声をもらすから、ついいつもの流れで彼女の胸に手が伸びたのだが……。

「あたしが、やんだってぇ」
「……はいはい」

 ひょっとして、これは生殺しの長期戦になる可能性が高いのでは。
 こう見えても、僕だって高校二年生、やりたい盛りと言ってしまっても過言ではない身体には毒すぎる。
 もちろん、今ここですずをなんやかんやと言いくるめてついでの一本背負いで手中に収めることは容易である。しかし、なにか勿体ないのですずのやりたいようにさせてみる。
 くちびるから離れたすずのそれが、今度は僕の首筋を通って鎖骨のあたりに、

「イテッ」

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