「おめでとー!」
あゆむくんに花束を渡すと、すごく微妙な顔をされた。
俺に花束なんか渡してどうすんだよ、ていうかあんたが? みたいな顔。
「ありがとう、ございます」
とりあえず受け取ってるね、すずの手前ね、僕を邪険にするわけにいかないでしょ。ふふ。
「あゆむううぅうぅぅぅ」
「うわっ」
僕の背後から、学校を終えてこちらに猛ダッシュしてきたらしい旭さんが、あゆむくんに飛びつく。
「おま、傷いてーわ! ふざけんじゃねーぞ!」
「あっ、ごめん……退院だと思ったらうれしくて……」
「あ、そうだあゆむくん」
「?」
僕は、あゆむくんをちょいちょいと手招きして、耳元に口を寄せる。
「入院中の性欲処理、楽しかったみたいだね」
「……!」
僕は知ってる。密かに病室で旭さんに性欲処理させて楽しんでたことを。
あゆむくんが、あんぐりと口を開けて、じゃあね、と去っていく僕を見ている。
あーあ、そういうとこ、だいすき。
20120627
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