出会い誤解そして和解
01
ぺたり、と彼女の肌に触れた。そっとキスをしようと顔を近づけて目を合わせると、その瞳が笑みのかたちに歪んだので、俺も笑い返す。いけないことしてるよね、という共通の罪の意識が、俺たちを更に大胆にさせる。
「脱いじゃう?」
「うふふ、尚人えろい」
「褒め言葉だね」
名前をよく覚えていなかった彼女は、ナツコ、って先ほど友達に呼ばれていた。
なっちゃんと頭の中で記憶して、その青い学校指定のシャツのボタンを順番に外していく。ふるりと、蒸し暑い外気に、露出した小ぶりなかたちのいい胸が震えた。そこに噛みついて、ああ、結局キスしてないや、と手順について少しだけ反省する。
「尚人」
甘えるように俺の名前を呼んだ彼女は、俺の頭を抱え込んだ。女の子特有の柔らかな感触に顔がうずまって、それで無性に安心してしまう。
学校の屋上で、俺はフェンスに背中を預けていて、グラウンドから俺にしがみつく裸の彼女の姿が見えたって不思議じゃない状態なのに、彼女はくすくすと笑っている。
そうだ、これは笑えることなんだ。先生に見つかったって最悪停学を食らうだけ。停学になったらなったで、また面白いことなんだ。
ピンク色の可愛いブラジャーのホックに指を伸ばす。難なくそれを外して、果実にかぶりつくように口を開いた。
と、その時だ。
「っ」
ぎい、と屋上の扉が不意に開く。なっちゃんがぎくりと身体を強張らせて背後を見やった。俺も、彼女の身体越しに扉のほうを見る。
太陽光が眩しくてくらりと歪んだ視界に、青色の上履きが映り込んで、それから少女の輪郭が鮮明に浮かび上がった。
「へっ」
少女が間抜けな声を上げ、なっちゃんが慌ててホックが外れて浮いたブラを身につけ、俺が脱がしたシャツを身にまとい立ち上がる。
「尚人、また今度ね!」
「え」
少女のわきを、なっちゃんがぱたぱたと駆けて行った。少女は呆然と、去った彼女のほうを見つめている。
俺は小さくため息をついて、ちらと少女に視線を流した。