憎しみと愛情は同じ色
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 頭が、話についていけない。ルカが、俺を養子に? そうするためにこの人は俺と書類上の親子の縁を切るつもりなのか? 後妻に子どもができたからではなく? 意味が分からない。もっと分かりやすく言ってほしい。

「……父さん、は、俺と書類上だけでも家族でいるのがいやなの……?」
「お前が小さな頃、私はまだ若くて、小百合やお前に辛く当たった。お前はひとつも悪くないのに、その青い目が無性にルカを思わせて苦しかった」
「違う、俺は……生まれてきたこと自体が罪で」
「……昔から、お前はそうだったな」
「何が」
「小さい子どものくせに悟ったような顔をして……余計に私を苛立たせた」
「……ごめんなさい……」
「いや、そうじゃない。悪いのはすべて私なんだ」
「違う、違う」
「なぜそんなにかたくなになるんだ」

 違う。悪いのは俺だ。あなたはひとつも悪くない。そう言いたかったのに、舌がうまく回らなかった。代わりに、瞳からぽつんと涙が出てきた。だめだ、望みを持ったらだめだ。
 言い聞かせるのと同時に、気づいてしまう。俺はこの人に愛されたいんだ。

「今まで悪かった。……私に出来ることは、お前の籍を抜くことだけだ」
「……で」
「何?」
「なんで、そんなふうに、そんな、俺のためみたいな言い方は」
「お前のためだろう。長い間、縛り付けて、本当に済まなかった」
「違う、俺は、」
「もう、いいんだ、尚人」
「……」

 ぽろぽろと、涙はあふれてとどまることを知らない。
 こんなみっともなく人前で泣くなんて、大人気ない。ローテーブルにぽたりとしずくが落ちる。
 愛されたかった。ずっとこの人に、愛されたかった。今まで気づかないふりをしてきた。おこがましいとずっと否定してきた。愛されようなんか思わないほうが楽に生きれると自分に言い聞かせてきた。だって今だって、心臓が焼け付くように痛い。
 愛されたかった。