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 いろいろ見たけど、どれも素敵で、これ、というものがなくて、困り果ててしまう。
 これもかわいいし、こっちもかわいいし、でもでも手前のも……。
 いろいろ試着もさせてもらったけど、しっくりこなくて、白い布に埋もれながら、どうしよう、と思っていると、あゆむが近寄ってきた。

「決めた?」
「ううん……全部かわいいから、決められないの」
「何それ」

 ははっとあゆむが笑って、わたしが今着ているドレスをまじまじと見て、首を傾げた。

「これよりは、こっちのが似合いそうだけど」
「あのね」
「何?」
「わたし、決められないから、どうせならあゆむが好きなの、着たいな」
「……じゃあ、俺はこれがいい」

 たぶんこういうのって、わたしがひとりで決めて、撮影当日にあゆむにお披露目するのが一番いいんだと思うんだけど、あゆむはあんまりそういうの興味なさそうだし、一生に一度のことだから、せっかくならあゆむが選んでくれたのを着たい。
 あゆむが一番わたしのことかわいいって思ってくれるドレスで横に並びたい。

「ぜってーこっちのが似合うよ」
「じゃあ、着てみる」

 結局あゆむが選んだドレスに決めて、下見を終えて達樹をあゆむの実家に引き取りに行く。
 何度も何度も義母さんたちに預けるのは気が引けるけど、達樹はどうやらいい子にしていたみたいだし、ふたりとも快く了承してくれて、楽しんでいらっしゃい、と言ってくれた。
 帰り道、わたしはとっても幸せで、また泣いて、あゆむに変な顔をされた。

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