01
今週の日曜日は、バイトがないあゆむとデートだ。
あゆむとは数えるほどしかデートをしたことがないだけに、そして、今日という日なだけに、わたしはものすごく気合が入っていた。
「……完璧」
朝、きっちりシャワーを浴びて、髪の毛をセットしてあゆむの隣を歩くのが似合いそうな清楚な感じにまとめた服を着て、入念にメイクをする。泣いても落ちないマスカラ(しかし泣きすぎるとやっぱり落ちる!)を重ねづけして、グロスで唇を潤す。
全身鏡の前であらゆる角度から自分の姿を確認し、髪型オッケーメイクオッケー服装オッケーブーツスタンバイ。……いや、デート後にもしかしたら、なんてこともあるかもしれないから、靴は脱ぎやすいパンプスにしよう。
あゆむに愛されるために磨かれた自信満々の武装でいざ、待ち合わせ場所に。……ぎゃー! 遅刻する!
走って駅に向かうけど、急行に乗り損ねる。ああ、三分の遅刻です。
「おせーんだよ、この馬鹿」
案の定、五分前行動派のあゆむはすでに待ち合わせ場所にいて、わたしを見るなりなじってきた。とりあえずなんだかんだと言い訳する。あゆむがため息をついて、わたしの手を取った。
「で、どこ行くの」
「新しいショッピングセンターができたでしょ、あそこに行きたいの」
「チッ、買い物かよ……」
あゆむが、買い物はひとりでゆっくりしたいタイプなのは知っていたけど、今日ばかりはそうもいかない。わたしには目的があるのです!
「あ、これもあゆむに似合いそう」
「……」
メンズの、あゆむの好きそうなお店で、あゆむのお洋服を選ぶ。あゆむが怪訝そうな顔でわたしを見ているけど、まだわたしの意図には気づいていないようだ。しめしめ。
prev | index | next