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二人が俺に頭を下げてみんなのところに戻ると、再び静かになったカウンターで玲央がため息をついた。


「お人好し」

「玲央だってそういうとこ、あるよね?」

「ねぇよ」


なんて言うけれど、素直じゃない玲央に隠れて笑う俺の頭を強引に撫で回す手の平は優しい。不器用ではない、隠しているわけではない、素直じゃないけど横暴な、だけど誰よりも気高い獣。俺はやっぱり堪えきれずに笑い出してしまい、玲央の手はより強引さが際立った。


「仲良いなぁ、お前ら」

「あ、西さん、お久しぶりです」

「おー、久しぶりだな」


匡子さんを運び終えた西さんが、首を回しながら俺の隣に座る。それに対して玲央がわざとらしく舌打ちすると、西さんは苦笑を浮かべた。


「ったく、ブラコンもほどほどにしろっての。なぁー? 小虎ー?」

「え? あ、でも、俺もブラコンだって自覚してますから」

「あはは! はいはい、ごっそーさん」


自分で持って来たシャンパンの瓶を傾けて、グラスへと注いだそれを一気に仰いだ西さんはほぅと息をつき、口元を手の甲で拭う。


「そういえば俺、西さんに挨拶まだでしたよね」

「あぁ? 挨拶?」


そんな西さんを見ながらふと思い出した俺は、体を西さんへ向けて軽く頭を下げた。


「いつも兄がお世話になってます。ご迷惑をお掛けすることも多いかと思いますが、これからもよろしくお願いします」

「……お前、」


そして挨拶を終え、顔を上げた俺を見ていた西さんはゆるりと微笑みながら、俺に手を伸ばそうとした。が、その手は玲央に叩き落とされていた。


「……おい、俺だって子供を可愛いと思う純粋な気持ちくらいはあんだぞ」

「てめぇは触んな」


と、なんとも言えない口論を終えた玲央がすぐ俺の頭を撫でる。ついつい顔を赤くして苦笑する俺に、西さんは盛大に笑った。




 


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