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最後の客がエレベーターに乗り込み、扉が閉まる。下げていた頭を上げて、俺らは後片付けを始めた。雄樹はテーブルを拭いたりイスを正し、志狼はスタッフルームからモップを持ってきて床を拭き、仁さんと俺は食器類の洗浄だ。


「お前ら冬休みの休み希望は早めに出しとけよ。ちなみに連休は無しな」

「えー!? 俺もトラちゃんみたく温泉行きたかったのに!」

「そーいうのは早く言えっていつも言ってんだろーが」


仁さんと雄樹のやり取りについつい口元を緩めていると、同じように悪い顔をした志狼と目が合う。なのでここぞとばかりにニヤつく俺らに、雄樹は両手で頬を覆ってキャーとか言ってきた。アホめ。

冬休み、か。旅行から帰って来てまた忙しくなった玲央との時間は、けれど以前より増えている。
ブラックマリアを解散させ、総長の座を降りた玲央は夜遊びをしなくなり、今はその時間をジムにあてた。喧嘩を卒業して体力が落ちたら大変だと匡子さんに無理やり入会させられたと愚痴をこぼしていたが、以前とは違い、正しい運動で引き締まる体は玲央を一段と魅力的にさせている。
風呂上りに上半身裸でうろつく玲央の体をまじまじと見ていた日には、やけに色っぽい笑みでエロガキと言われたことだけは度し難いけれど。


「俺は希望とかないんで、いつもどおりで大丈夫です」


最後のお粥鍋をスポンジで磨き終え、蛇口をひねりながらそう言うと、隣でグラスをすすいでいた仁さんが「助かる」と一言。むしろ休みがちだった俺は他の誰より頑張らないとダメなんだけどな。自分に対して苦笑を浮かべ、手元の鍋を次々すすいでいけば、その分働いた実感が手に馴染んだ。

旅行も楽しかった。雄樹や志狼と遊ぶ時間だって、学校でカシスト支店をやるのも楽しい。あぁだけど、やっぱり俺の起点はここなのだ。




 


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