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「ツカサは、ノアが死んだ経緯を教えてくれた。そのうえで協力してくれないかって、話を持ちかけられて……」

「司らしいやり口だな」


黙っていた仁さんが舌打ちをこぼすと、豹牙先輩が拳を握る。俺はそんな豹牙先輩の手に自分の手を重ねながら、お粥作りをゆっくりと続ける。


「……コトラは、いつから気づいてたの?」

「え? んー……そうですねぇ、司さんがね、俺たちに巴さんがカーデの男に拷問まがいなことをしてる映像を見せてきまして、それを見たときから違和感があったんです」

「違和感?」

「あ、でも新山さんが出てきた時点で不信感はありましたよ? だって新山さん、すっごい怪しいですから」


違いねぇな、と今度はくつくつ笑う仁さんに苦笑を浮かべると、いつのまにか豹牙先輩が俺の手を握っていた。


「え、俺ってそんなに怪しいの? ねぇ仙堂どう思う? 俺こんなに優しいおじさんオーラだしてるのに若い子には理解してもら、ぶっ!? ちょ!? なんで殴った!?」

「あれ、新山さん居たんですか。さっきそこに煩いハエが飛んでましたけど、見ませんでしたか?」

「それ俺のこと言ってんの?」


と、のっけから漫才をして現れた新山さんと仙堂さんに視線を向けるが、新山さんはそんな俺にウィンクしてきた。隣の豹牙先輩が思いっきり舌打ちをこぼす。


「ま、そんなことより小虎くん、デリバリーお願いしまーす。てことでノア、アンタもう帰っていーわ。飛行機の時間大丈夫?」

「……ニイヤマ、センドウ……」

「新山仙堂って続けて言うと地名みたいだねー、なぁせんどぉうっ!?」


ケラケラ笑う新山さんに仙堂さんの一発が入るが、この緩い空気に周りの客も若干呆れ顔である。
反して顔色の悪くなった目の前の彼に、コホンと咳払いをしてから手を伸ばす。


「俺、全然似てねぇけど朝日向玲央の弟で、小虎って言います」


そんな俺の行動に、先ほどまで煩かった新山さんたちも口を閉ざし、辺りはシンと静まり返った。
俺を見つめる彼は青い瞳を丸く見開いて、そこからぼろぼろと涙を溢しながらごめんと呟く。それでも俺が伸ばし続けるその手に、指先を重ねてから、笑った。


「僕……はっ、よく、弟のノアに間違え……られるけど、兄の、ノエルって言い……ますっ」


右手には豹牙先輩の手を、左手にはノエルさんの手を重ねて、俺は「ぜひまたお粥食べに来てください」と声をかけると、ノエルさんは何度も何度も頷いた。隣にいる豹牙先輩が、なんだか照れ隠しのような舌打ちをこぼした。




 


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