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ある日の江藤家 - 3



それからなにをするでもなく時間を潰し、昼は小虎のとこでお粥を食った。
相変わらず元気な雄樹はアホだが、俺を見つけたときに微笑む小虎は可愛い。
もしもあの玲央の弟じゃなかったら、一度は味見でもしたかったのだが。

午後になったと同時に校舎を出た。もちろん担任には優しくお願いして出席扱いにして貰った。
チャリ置き場に並んだバイクの中から自分のものを見つけ出し、暖機運転のため、しばらく跨ったまま待っておく。そのあいだにデスリカのスタッフから届いたメールに目を通す。


「お、豹牙じゃーん」

「おー」


俺とは違ってサボる気で学校を抜け出してきた、見覚えはあるが名前の知らない生徒に声をかけられた。
そいつはバイクに跨るなり、無駄な空ぶかしをしてから走り去っていく。あぁいうのを見ると、すっげー腹立つんだよなぁ。

と、それどころじゃねぇか。

暖機運転を終え、ハンドルを握って走り出す。胸元に流れ込む風の心地よさは、車なんかじゃ味わえねぇ。


「豹牙さん、おはようございます!」

「おはよう。メール見たけど、対策は?」

「はい、すでにオーナーが片づけました」

「ははっ、早いねぇ」


昨夜、騒動を起こした馬鹿が、デスリカから(半ば追い出されて)出たあと、傷害事件を起こしたらしい。警察にパクられてそいつが言った理由というのがまた情けなく、デスリカで大量に飲まされたせいだという。
まったく……この店のバックにはなにがついてると思ってんだか。


「あ、そういやなっちゃん、このあいだ面接した子、どうした?」

「ちょ、なっちゃん呼びは勘弁してくださいよ……まぁ良い子だったんですけどね、玲央さん目的だったんでお断りしました」

「ふーん、玲央も罪な男だな」


緑のモヒカンである、一見パンクっぽいなっちゃんは苦笑を浮かべ、手に持っていたモップで掃除を再開した。
俺はその姿を横目で見つつ、真っ直ぐオーナールームへと足を運ぶ。




 


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