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ある日の朝日向家 - 4



黒で統一されたセミダブルのベットに、俺を抱えたまま玲央が腰を下ろす。
以前のように投げられると思っていたのだが、不思議と今の玲央は優しいようだ。
ゆっくりと玲央が横になる。必然的に、腕の中に捕らえられた俺も横になる。
今度は俺が玲央の胸板に顔を埋める形で眠る体勢を取ると、ご機嫌な獣はすぐに寝息を立てていた。
……そんなに眠かったんなら、一人で寝ちまえばよかったのに。

どこか安心したように眠る玲央の顔をじっと見つめる。……もしも玲央が本当に野生動物だったなら、こんな顔は、今の俺のように家族にしか見せないんだろうな……。

そんなことを考えてしまった自分が恥ずかしい。
すでに寝入ってる玲央に見られないよう俯くが、余計に密着した身体が異様に恥ずかしかった。
――優越感、みたいなものを感じているのだろうか、俺は。


「……っ」


あぁ、どうしよう。馬鹿だ、馬鹿すぎる。
本当に俺はなにを一人で百面相などしているのだろう。

助けてくれるはずもない玲央に救いを求めて視線を向けるが、そこにはやはり、穏やかな表情で眠る金の獅子がいるだけだった。
寝付きのいいその姿に、疲れていただろうことを思い出す。
恥ずかしさに暴れたりしないで、もっとなにか声をかけてあげるべきだった……。

たとえば……たとえば、そう。


「……いつもありがとう、玲央……おやすみなさい」


無理をするなと気遣うのでなく、頑張れと応援するのでなく、その努力に対して感謝したい。
色んな感情をひっくるめて、玲央を労ってやりたいのだ。

感謝の言葉が口から出た安堵からか、急にまぶたが重みを増した。
まだ髪も乾かしてないのにな……意識の隅でそんなことを考えながら、俺は玲央に身を寄せて、彼が見ているだろうその夢の世界へ旅立った。


――だから、知らなかったのだ。
俺がそうして寝息を立てるすぐそばで、言いようのない表情をしながら俺を見やる玲央がいたことを。



―――――
遅くなりましたが、きうさんへ捧げます。
リクエスト内容は「なんとなく抱きしめたまま離さないレオに若干きゅんきゅんしてしまう小虎」でした。
リクエスト、ありがとうございました!



 


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