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「つかさー、小虎くんなんでこんな恰好なわけ、寝起きでしょ? 明らか」

「だって支度させてたら玲央が怒鳴りそうだったし、まぁいっかーって。小虎くん、着替えたい? 色々衣装あるけど、欲しいのあげようか?」

「ごふっ……や、いいですいいです。このままで大丈夫なんで」


突然なにを言い出すのだろうか、この人は。
腹にものが入ったことで、少しだけ正常を取り戻した脳が覚醒していく。
平然とサンドイッチを食べる自分の図太さもそうだが、この、なんとも言えない「当たり前感」が非常に落ち着かない。

咽た体を整えるためにまた、コーヒー牛乳を飲んだ。


「えー、ダメだって〜。仮にもモデルの弟だよ? こんなぼっさぼさの髪に目も向けられないようなジャージ、ひどいにもほどがある」

「こらこら、言い過ぎよ。それよかほら、西さん呼んでるわよ」

「え? わ、こわっ。あーもう、せっかく楽しんでたのに、またね、小虎くん」


テーブルに置かれた缶コーヒーを飲む匡子さんがカメラマンだろう人を指さした。
イケメンと俺がそちらを見れば、なにやら黒いオーラを出す人が一人。イケメンは「またね」と言いながら、爽快な足取りでそちらへ向かって行った。


「さて、小虎くん」

「え? はい?」


そしてイケメンが去れば、ぐいーっと缶コーヒーを一気飲みした匡子さんが、満面な笑みで立ち上がった。


「少し話しましょうか」

「……は、あ」





撮影場所から少し離れた噴水の前は、早朝とあってか犬の散歩をする人と、ジョキングをする人しかいない。
夜になれば雰囲気もあるだろうから、恋人同士も来るだろう。そんな噴水の近くにあるベンチの上で、俺と匡子さんは隣になって座っていた。
俺と匡子さんの手には、彼女が買った缶コーヒーがある。




 


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