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「れ、お……今、なん、て」

「二度は言わねぇよ、馬鹿トラ」


ぐっ。兄貴の、玲央の長い指が鼻を摘まむ。息苦しさに暴れれば、すぐに指は離れていった。


「本当、お前って馬鹿だな」

「はぁ?」

「馬鹿すぎて――」


離れていったはずの指が、俺の服の襟を掴む。そのまま下に曳かれてしまえば、鎖骨のほうまであらわになった。
驚いている間もなく――、


「――いっ!?」


俺は、また玲央に噛まれた。しかも以前より、絶対深い。
みちみちと肉が叫ぶ。プツッと皮の切れる音がした。じわりと、涙と血が浮かぶ。

玲央の熱い舌がそこを舐めれば、ピリッと痛みが走る。


「目が離せねぇな」

「……なんっ」


どこか満足げな笑みを浮かべる玲央が顔を上げれば、その口元につく血にすら目が行ってしまう。
だけど玲央がそれを舐め取るから……なんだか、気持ち悪くていやらしい。無駄に、いやらしい。


「おら、顔赤くしてねぇでカシスト戻れ。どうせ司にからかわれてたんだろ」

「……あ、う」


ぐしゃぐしゃ。玲央が俺の頭を撫でる。つい先ほどまで俺の皮膚に触れていたその唇で、煙草をくわえた。
なにかが抜けていく。力、なのか、気、なのか。よく分からないなにかが、抜けていく。

はぁー。深いため息をついて部屋から出れば、廊下でニヤニヤしている司さんと豹牙先輩がいた。え、ちょ。


「いっ、いつから……っ?」

「えー? 最初から?」


ニコリ。頬に痣を作った司さんが笑った。眼鏡の奥で光ったぞ、キランって目が光ったぞ。


「良かったねぇ、小虎くん。君のだぁーい好きなお兄ちゃんと和解で・き・て!」

「……ども」

「テンション低いぞー! さっきみたいにてめぇの骨は拾ってやる! みたいなテンションではい!」

「アリガトウゴザイマス」


疲労が思いっきり顔に出た。やばい、司さんのテンションがめちゃくちゃうざい。
この人の玲央いわく「性悪」という部分を見てしまったからか、余計うざい。




 


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