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*玲央side**


「玲央、お前さぁ、小虎のことどーすんだよ」

「どうって? 世話してやってんだろ?」

「そうじゃねぇだろ。――わざわざ不良として暴力見せつけて、なにしてんだって聞いてんだよ」


ピクリと眉が動いた。ポーカーフェイスも気取ってられねぇのか、俺は。
今度こそ殺意を込めて睨んでやれば、怯みもしない豹牙が鼻で笑う。


「ブラックマリアのゲームを見せるにはまだ、早かったんじゃねぇの?」

「早い早くねぇの問題か? アイツに教えてやったんだろうが。――てめぇが盲信している兄貴はそんなやつじゃねぇ、ってな」


はっ。喉の奥からクソみたいな息が漏れる。
笑える自分が一番笑えてくる=B


「信じられるか? アイツはよ、ずっと俺に殴られてたってのに簡単に心開いてんだぜ? そんなに兄貴が好きなのかよって話だろ。はっ、ばっかみてぇ」

「……」


そう、馬鹿だ。馬鹿みたいなんだ。

俺がアイツに「俺を許すな」と言ったのは、俺自身が許しを請うつもりがないからだ。
いまさら許しを乞うほど図太くはないし、なにより――俺が謝ればきっと、アイツは許してしまうだろう。

それじゃあ意味がない。俺が奮ってきた暴力の罪は、そんな一瞬で片付くような問題ではない。
今だってアイツの行動に苛立ちを覚えることもある。もし理性が消えかけたら殴るかもしれない。そんな危うい状態で暮らしているのだ。世話を、しているのだ。

なのにアイツは「許したりしない」なんて口にしながら、必死に俺と家族ごっこをしようと生きている。
暴力に怯えているのではない、俺からの拒絶を怯えている。――ただ頑なに、俺との兄弟ごっこを心から待ち望んでいる。


「……だからってよ、幻滅させてどーすんだ」

「幻滅させなきゃ意味ねぇんだよ。アイツは俺に理想を求めすぎだ」

「……はっ、面倒くせぇ性格」


呆れたように笑う豹牙をまた睨めば、やつは軽く肩を竦めた。




 


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