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「あ、トラ。これだよデスリカのオーナー。江藤司(えとうつかさ)、豹牙の兄で俺の悪友」

「はぁ……あ、江藤せんぱ……豹牙先輩にはいつもお世話になってます。朝日向小虎と申します」


仁さんは司さんのことなど気にするでもなく俺に紹介してくれる。ので挨拶をすれば、司さんの眼鏡がキラリと光った。
じっと、品定めでもしているような視線が全身を見る。


「どうも、江藤司で、豹牙の兄です。ごめんね、変なところを見せて。でも良かった」


なのに、なぜか司さんは一瞬で人当りの良さそうな笑みを浮かべ、俺のほうへ手を差し伸べながら言ったのだ。


「君みたいなちゃんと挨拶のできる子が、豹牙の後輩で」


ニカッ。司さんの白い歯が光る。ま、眩しいっ!
なんてアホなことを思いつつ、俺は江藤せんぱ……豹牙先輩にも兄がいるんだとか、入ってきたときとは全然違うなこの人とか、まぁ色んなことを思っていた。
とりあえず差し出された手を握っておく。


「小虎くんって玲央の弟なんでしょ? 似てないもんだねぇ。あ、でも俺も豹牙と似てないだろ? はは」

「あー……でも、なんか雰囲気? 似てますよ。豹牙先輩と司さん」

「……おい仁、なにこの子。天然記念物?」


天然記念物!? 俺が!? なにゆえ!?
司さんの発言に笑っている仁さんと隆二さんだが、俺にはその笑いがちっとも理解できなかった。


「ま、珍しいよな。今時こんなやついねぇもんなぁ?」

「まったくだな。無防備すぎて危ないだろ……あ、でも玲央が兄なら大丈夫か」


大人二人が同じことを思いながら別々の表情を見せて俺を見る。
なんだか逃げ場がなくて縮こまるが、必死に笑いを堪えている隆二さんを見つけ、そちらのほうに助けを求めれば……にこっ。なんて笑われて終わった。




 


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