Immature
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「おい!」
見るからにイライラしているシリウス。
一体全体何にそんな苛ついているのか知らんけど、私とバーティのであいを話すのは、シリウスに対する思いも自然と暴露する流れになってしまうので、ちょっとまずい。
どうしたものかと、イライライライラしているシリウスのオーラと、私の腕を掴む力が増してきて痛みに堪えていると、
「僕の彼女に触らないでもらえます?」
あんなに遠くに、1人ですたすたと歩いて行ってしまっていたバーティが、シリウスの腕を掴み上げる。さすが長い御御足。
その反動でシリウスの手は私の腕を離した。
ひぇ腕赤くなってる。痛い。
……ていうか、今
「……彼女?」
極限まで機嫌の悪いシリウスと同じことを私は思った。
誰が誰の彼女だって?
「ええ、彼女。……彼女がいっぱいいるブラック家長男には関係ないでしょう?」
凄い、私の彼氏、私の許嫁にめちゃくちゃ喧嘩売ってる!
見るからに機嫌の悪さが限界突破しているシリウス!
もー大変!
「お前……クラウチか?」
「はい。以前はパーティでお世話になりました」
「テメェ……知ってんだろ、俺達の関係」
「さあ?彼女を13人も作っているブラック家長男と、ナタネの関係なんて知りませんね」
13人もいるのかい!
じわじわ増えてんじゃねぇか!
「……お前、誰に喧嘩売ってんのか分かってんのか?」
「分からないほど馬鹿じゃないですよ。僕は貴方みたいに脳みそ女で詰まってませんから」
おーーっと、あのシリウスの仕草は…………杖だっ!杖を取り出したーーーーっ!!
「覚悟は出来てんだろうな?あ"?」
「なんの覚悟ですか?」
「俺に喧嘩を売り、俺のもんに手ぇ出した覚悟に決まってんだろ」
「……俺のもん?」
しまった、と思った時には、もう言葉が出てしまっていた。
2人……とポッターたち3人の視線が突き刺さる。
一度開いた口からは、ボロボロと言葉が零れ落ちた。
「よく言うよ。彼女12」
「13」
「……13人も作っといて。シリウスが私のものじゃないように、私もシリウスのものじゃないから。シリウスが彼女を作ってんなら、私も彼氏くらい作っていいでしょ」
「……はあ?お前は俺のもんだろ?婚約してんじゃねぇか」
「婚約なんて破棄すればいいじゃん。シリウスにはお似合いの人いっっっっっっっっっっっぱいるでしょ。大体訳わかんなかったんだって。なんでシリウスが私を婚約者にしたのか。キープでしょ、どうせ。あと血筋。所詮シリウスもブラック家だもんね」
5年間積もりに積もった思いは、言葉となって宙を彷徨う。
その言葉がシリウスにどう作用するのかは分からないけど、たぶん
「テメェ……テメェ!!」
顔を真っ赤にして、震えて、私とバーティを鋭く睨んでいるから、上手くは作用しなかったんだろうな、って思う。なんならバーティに杖を向け、今にも呪文が飛んできそうだ。
血筋のことは地雷だったかな。でも仕方がない、そう思ってしまう行動を取ってるんだから。
「ステューピ……」
あっまずい飛んでくる。
ていうか、なんでシリウスが怒ってんの?怒っていいの私じゃない?
なんて呑気に考えていると、意外にもシリウスを止めたのはポッターだった。
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