(※ときによろしくない表現が予告なしに飛び込んでくるかも)


03/18 16:22



「なぜならお前は触れたからだ。私の最も深い部分に。鋼と見紛う私のこの心臓を、その刃で刺し貫いて見せたではないか。私は、私の躯に張り巡らされた管を伝う血液が冷たいものだと信じていた。だが違った。お前がそれを教えたのだ。言葉と魂で以てお前に科した桎梏を、お前はその強靭な意志で打ち砕き、閃かせた刃と同じ鋭い気性で果敢に私に挑みかかっただろう。実に見事な一撃であった、この私が何一つ抵抗を許されなかったのだから。私はお前に刺し貫かれて知った、私の器を満たす血液よりもなおお前が振り翳した刃が冷たかったことを。沸騰するような憎悪に裏打ちされていたというのに、私の躯を過ぎ去る刃はそこから血潮を凍り付かせてしまいそうなほどに冷えていた。
私はそこで考えた。――私はまさしくその瞬間まで、お前に裏切られることなど露程も想像していなかった。それどころかお前が自らの意志を取り戻すことなど到底有り得ないと高をくくっていた。一方的な関わりは私が確かに望んだものであったが、しかしそれに倦んでいたのもまた事実。何よりも私はお前の苛烈さに恋をしたのだから――おや、これは言っていなかったか? つまりそういうことだ。
……どういうことかわからないという顔をしているな。それならば端的に教えてあげよう。
私は嬉しかったのだよ。実に嬉しかった。私を殺すという原始的な行為によって、私が愛した激しい気性のお前が蘇ることが、この上ない僥倖だった。さらに、お前が私から逃げるために何度も死を選ぶ様はとても私を惹きつけた。正気を保ったままできることではない。
だから私もお前に向き合うことにした。お前が逃げ続けるというのなら、私はどこまでもお前を追いかけよう。地の、海の、空の果てを超えて、時間すらも尽きる場所までお前を追いかけて追い詰めて、必ず跪かせよう。お前が私から逃れるために必死で足掻く姿を、満足するまで愛でてからお前の意志を踏み躙ろう。その思い出だけで未来永劫生きていけるように」


躙り愛(にじりあい)
我儘気儘傲慢なある神様に気に入られた女の子の話。強制的に嫁にされた上に意志を奪われて飼い殺し状態だったけど、隙を突いて意志を取り戻し、怒りに任せて神様の心臓ぶっすり刺す。死ななかった畜生! しかも魂レベルで繋がっている(繋げられている)せいでちょっとやそっとでは逃げられない。そこで神様から逃れるためにその場で自殺し、転生を続けて逃げる嫁さん()。この嫁さん肝据わりすぎ。何回も自殺→転生を繰り返すせいで生死の観念がめちゃくちゃ。それを追いかける、刺し貫かれた際に初恋刺激されておまけに変な方向にこじらせてしまった旦那さん()。こっちは嫁さんに会うため人間に混じって生活しているうちにちょいちょい人間らしくなっていく。それにしてもとんでもないDV夫婦である。
転生するたびに神様が赤の他人から身内になり親等がどんどん近づいてくるとか[ネタ]

ちなみに最初のイメージは砂浜でキャッキャウフフ捕まえてごら〜んと追いかけっこしあう、恋人同士のよくある(?)ワンシーンだった。







10/19 00:26



「こんなことして、何か意味があるの?」
「目の前の現実から逃げる言い訳トップ10に入る文句だなァ、それは」







10/09 17:20



コンスタンスは走り出した。
良心が彼女を従わせた。そして彼女の良心は、こんな時でも彼女のおこないが正しいものであると賛美し、賞賛した。
けれどコンスタンスにはわかっていた。自分が盾になるつもりであの子どもの前に立ちふさがったところで、柔い肉体では本物の盾になどなれはしないことを。それどころか、いたずらに犠牲者を増やすだけになるという可能性だって。
──それでも、コンスタンスは走らなければならなかったのだ。

彼女が仕える神のために。
彼女を縛る正義のために。

あの男はなんと言うだろう? 良心に肉体が裂かれる直前、意識の片隅にひらめく残影。
わたしを神の真横で犯してやると宣言した男は、またわたしの行為を嘲って笑うのだろうか?
それでもいい、といっそ清々しい気持ちが胸に去来する。あの時のような苦々しさは嘘のようにぬぐい去られて……
──どうかわたしを主から奪って。何もかも奪って。肉体も精神も魂も、破かれることのなかったこの薄い膜も、全部全部、あなたが代わりに支配してよ。
生まれて初めて神を裏切る瞬間、コンスタンスはようやく自分を縛る枷を壊せた気がした。
体は羽根のように軽く、誰よりも自由になって。
迫り来る罰を目前にして、恐れを抱くこと一つもなく。
微笑みさえ浮かべて、暗転。







09/15 17:35



わたしたちは互いの肉体の境界線を超えて、粘膜のぬめりの向こうに紛れも無い天国を感じ取っているのだ。

来期の課題のために論文読みまくってたら浮かんだ一言。
ストレス発散のためにヱロをくれ(大真面目)







09/13 13:16



「むなしくならない?」
「戦争してて、虚しくならない奴なんていないぜ」
たぶんな、と男は笑う。自分に言い聞かせるような調子の背後から、摩耗した疲労の気配がちらりと覗いた。
男は煙草を大きく吸い込むと、上を向いてふーっと煙を吐き出した。狼煙のように立ち上っていった煙は、風に流されてあっという間に消え去る。
「だがなあ、そうして空っぽになった部分にな、すげえ勢いで流れ込んでくるモンもあるのさ。で、途端に沸騰しちまうんだ」
疲れている割に、男は律儀に相手をする。むしろこれを良い機会と見て、胸の内に凝り固まっているものを解消しようとしているらしい。


人生は戦争で戦争が人生

傭兵のおっさんと女の子の話。おっさんは自分が何人殺したかちゃんとカウントしてるんだけどそこまで書けなかった




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