狂い咲きの恋 | ナノ



ざわめく教室から出て廊下に出た。冷えた廊下に背中がぶるりと震え、目的の場所へと足を速めた。決して、高杉と共にサボろうとするがために屋上や保健室に逃げ込むわけじゃない。名前が今日、学校に来ているか。それだけを把握するために。


別のクラスの教室の扉を小さく開いた。キョロキョロ目を動かし教室を見回しても名前は居なかった。昨日の今日だ。休みなのだろうか。メールをしてみようかと思ったが、半同棲に近いアイツにむざむざ連絡取って、また男の怒りにでも触れて名前の身に何かあればなるべく控えたい。それは経験済みだ。




――ポンッ


「うわっ?!」

「何驚いてんの」

「名前、か。びっくりさせんなよ、今、ぜってぇ寿命縮んだかんな!」

「はいはい。銀時こそ端から見たら怪しいよ?どうかした?」





肩を叩かれ、心臓が大きく跳ねた。恐る恐る振り替えれば今まさに探していた名前が立っていた。昨夜額に貼った絆創膏はそこにはもう貼られていなかった。忘れられたような気がして、今度は痛くなる心臓。



「あー……いや」

「……もしかして私を探してくれてた?」

「……」

「あは、銀時が何考えてるかが顔に出るからわかりやすいや。でも、大丈夫だから?」





チャイムが鳴るよ、と諭すように付け加え、教室に吸い込まれるように入っていく名前の手を不意に掴んだ。






「嘘つけ。お前の嘘なんてお見通しなんだよ」




ぼそりと、彼女の耳元で伝えると、手を離して自分の教室へと踵を返した。







冷たい手だった。












かじかむ手を、









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