激しく名前を求めたあと、心身ともに疲れ、眠った彼女をベッドへと運び、一緒に眠った。次に起きたのは太陽が真上に昇りきった頃だった。 「……ああ」 一緒に眠ったはずの彼女はもう居ない。ぬくもりすら消え去っていて、彼女は戻ったのだと考えに至った。……否、考える前からわかっていたことだった。 名前は決して俺のものにはならない。 「ひでぇツラだな」 「……うるせぇよ」 遅刻してても、普段の俺なら学校に行くことはない。ただ、目を覚ましてから抱く不安感に耐えられなくて仕方なく学校へと向かった。職員室で入室許可証を貰い、教室に入ればクラスメートの視線を一気に浴びる。口々に「社長出勤だな坂田!」や「坂田君おはよう」なんて飛び交う。黒板には自習の文字。そりゃ騒がしいわけだ。挨拶を返しながら自席に座ると後ろから背中を小突かれた。 「なんだよ、高杉」 「学校来るなんざ思わなかったぜ」 「俺にしたら真面目に教室に居るお前のほうがびっくりなんだけど」 鞄からコンビニの袋を取り出し、パンといちご牛乳を並べた。後ろの席から話してくる高杉とは何故か小学校からの腐れ縁で即ち名前とも幼馴染み。それゆえ、俺と名前の関係もよく知ってる。 「……名前、か」 「……なーんであんな男が良いんだろうな」 「なんであんな女が良いのかわからねェな」 おうむ返しのように返ってきた言葉に苦笑いを溢すとパンを貪る。いちご牛乳をがぶ飲みし、朝ごはんは終了。 「なんでだろうな」 「あァ?」 「なんで好きになったんだろうな」 「知るかよ。ただ、報われねぇことだけは確かだ。今のお前を利用して、傷付ける女なんか諦めて別の女に行けよ」 「行けるなら行きたいっつの。……だけど、な」 他の女を抱いても、満たされない。別の男の女なのに、名前が浮かんでは消えて、やりきれない。そんなの最低だろ。 「手っ取り早い話、嫌えばいい。今のアイツの状況を憐れんで蔑んで、もう無理だと思えばいい」 「そうは行くかよ。誰が名前を護るんだよ」 「お前に……名前が護れんのか。……銀時、アイツと関わんなとは言わねぇし、ヤるならヤればいい。だけど、それ以上、心を許すのは止めておけ。腐れ縁からの忠告だ」 チャイムが鳴って、高杉は颯爽と教室から出た。サボるつもりなのだろう。もう面倒な俺もサボってやろうかと考えたが身体が動かなかった。 「どうしたらいいんだよ」 見えない明日、 |