ドロップ | ナノ

「……はい、じゃー明日な。進路希望調査出してねーやつ早く持ってこい」


先生がそう言って、教室がまた騒がしくなった。朝は総悟と一緒に通学するわ、お昼休みはまた総悟がやってきて他の女の子(確か、神楽と妙って子)とご飯を食べることになるわで、やたらと総悟が構ってくるから鬱陶しかった。


これ以上絡まれないうちにさっさと帰ろうと教室を即座に後にした。



「すみませっ……あ」


前を見ていなかったので誰かとぶつかってしまった。すぐに謝って顔を見ると一番に教室を出た先生が居た。
新学期の日も廊下で先生とこんなことがあったような覚えがある。


「っと、苗字か。あんま急ぐなよ」

「そ、総悟から逃げなきゃいけないから、早く帰りたいの。じゃあっ」

「こけんなよー」


意外と先生はそれ以上構うことなく、ペタペタとスリッパで歩く音が耳に残った。ああ、今日も仕事だ。面倒だけど頑張らなきゃ。そんなことを悶々と思いながら鍵を開けた。


「え?」


いや、鍵は開いていた。誰かが帰ってきたのだろうか。
玄関を見るとボロボロな男物の靴が乱雑に散らばっていた。



「お、父さん?」




家族が元に戻ればいいのに、そう願うのは駄目なことなのかな。







100923

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