熱情
4話
おそらくサスケはサスケなりに、自分の気持ちが落ち着くまで、待っていてくれたに違いない。
意地の悪い男なのに、ふとした拍子に優しさを垣間見せる。
どんなに傍若無人な態度をとられても、完全には嫌えない……抗えない理由がそこにある。
それは自分だけが知る、男の秘められた一面だった。
「………ナルト……」
身動ぎ出来ず困ったように俯いたナルトを、不意に抱き締める腕。
ほんの僅かに艶を帯びた声色。
耳たぶを掠める吐息は熱く、鼓動を増した心臓が、小さく悲鳴を上げている。
頬にあたった癖の強い黒髪が首筋をくすぐり、そのまま項に唇が触れた。
「…っ………」
「抱かせてくれ」
言葉がもたらす甘い戦慄に、ぶるりと肩が震える。
何かリアクションをしなければ、とは思うのだが、上手い言葉が出てこない。
煽られた感情と立ち竦む理性とで、咄嗟に何も考えられない程に頭の中は混乱していた。
[ 前 へ ][ 次 へ ]
[目 次 へ ][TOPへ]