決闘は愛という名の剣で (1/5)

 ルルーシュは非常に動揺していた。目の前に立っている可愛らしい少年は、あどけない顔に満面の笑みを浮かべている。ふわふわに跳ねた柔らかい栗色の髪。ふっくらと膨らんだ頬。一見天使のような笑顔だが、付き合いの長いルルーシュにはその笑顔から溢れ出す悲哀を感じられる。
「おめでとう。ジノから君が凄く女の子にだらしがないって聞いてたから、心配してたんだ。でも、ちゃんとシャーリーと落ち着いてよかったよ」
「待ってくれスザク。誤解だ…これは…えっと…」
ルルーシュは慌ててスザクに弁解しようとするが、隣にはシャーリーが居る。更に全校生徒の前とあっては、迂闊なことは言えなかった。
 「二人とも、お幸せにね。ルルーシュ、ちゃんとシャーリーを大事にしないといけないよ」
「ありがとう、スザクくん」
シャーリーは顔を赤らめて、スザクの祝福を受け入れている。だがルルーシュが本当に愛しているのは、健気で素直な彼女ではない。悲しみをひた隠し笑顔で彼女に祝福を向ける、素直になれない彼をこそルルーシュは愛しているのに。
 スザクにもそれは幾度となく伝えている。伝えている筈なのに、なぜスザクはそれを信じてくれないのか。ルルーシュはもどかしさに唇を噛んだ。
「スザク!! いいから、俺の話を…」
ルルーシュがスザクに伸ばした手は、スザクに避けられて届かなかった。スザクはルルーシュに背を向け、離れて行った。


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