神の愛、人の愛 5 (1/5)

 スザクが次にユフィに出会ったのは自身の騎士としての叙任式であった。
 なかなか所属の決まらなかったスザクは、その当時第2皇子の部隊に配属されていた。これは(被支配民族)ナンバーズでありながら貴族という特殊な立場のスザクを他の部隊が倦厭した結果だった。第2皇子の部隊は変わり者が多く、数あるブリタニア軍の部隊の中でも一際リベラルなことで有名だった。だがその実力はブリタニア軍内でも群を抜いている。
 丁度配属されて半年。騎士としての実力を示し、また部隊にも馴染み始めていた頃だった。
 いきなり第3皇女の騎士に任命されると第2皇子から直接話を受け、困惑したまま叙任式に望んだスザクを迎えたのは、あの日見た可憐な少女だったのだ。ただあの日より少し上等そうなドレスを着ていた。
 真紅の絨毯の上に立つスザクの反応を案じる様に申し訳なさそうな顔で見つめる彼女を目にした時、スザクの顔は自然と笑を形作っていた。
 その笑みを了承の意と受け取ったのだろう。ユフィは一瞬鮮やかに微笑んでから、すっと真面目な表情でスザクを見据えた。スザクも彼女をひたと見据えて真紅の絨毯の上を彼女の前まで歩き出す。
 針の筵だった。第2皇子の部隊内では武勲も立て実力も認められていたスザクだったが、宮廷での評価はそんな些細なことでは覆らなかった。真紅の絨毯の上を歩む間、左右に立つ貴族や貴婦人達から侮蔑や好奇の視線を向けられ、ヒソヒソと囁く声が耳に入る。だが、スザクはユフィだけを見つめて歩み、ユフィもまたスザクから片時も目を離さなかった。
 やがて彼女の前に跪いて騎士の誓を立てる。差し出した剣は日本刀だったにも関わらず、彼女は顔色一つ変えずにそれを鞘から抜き放ちスザクを洗礼した。
 それは二人にとってあの不思議な出会いの物語の続きだった。


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