神の愛、人の愛 5 (3/5)

 ユフィはこれまで特に政治や軍事面での役職を負っていなかったが、この度姉のコーネリアがエリア10の総督に就任することとなり、それに伴い副総督の任を拝命した。当然彼女の専任騎士であるスザクもそれに同行する。
 現在スザクの所属は非常に複雑なことになっていた。主人であるユフィが今まで政務に参加していない身であった為に、スザクの役目は彼女の護衛程度しかなかった。
 だが、流石にそれは勿体ないということで、ユフィの騎士であると共にシュナイゼルの部隊にも所属したままになっている。シュナイゼルが要請しユフィが許可すれば、彼の部隊の作戦行動に参加することも多々あった。
 今回のコーネリアのエリア10への就任は、現地でテロ活動が活発になっていることから、その鎮静。及びエリア7と境を接した隣国がテロ活動の糸を引いていることから、隣国との戦争に備える意味もある。
 ユフィに同行するスザクは一端シュナイゼルの旗下から離れ、間接的にコーネリアの旗下に入ることになるので余計に所属がややこしくなってしまう。
 エリア7との開戦は未だ決まったわけではなく、検討段階だ。だが、開戦を強く主張しているコーネリアが総督に就いたことから、開戦の可能性が高くなる。
 一方、シュナイゼルは開戦に反対している。スザクもまた幼い頃の経験から他国のこととはいえ戦争には心を痛めていた。そして、ユフィも。
 このことから、シュナイゼルはユフィを副総督のに推薦し姉のストッパーになることを求めたのだ。これは妹を溺愛しているコーネリアの弱点を付いた巧妙な心理作戦である。
 ユフィもこの件に関しては乗り気で、絶対に開戦を阻止して見せるとの意気込んでいる。
 スザクの役割はそんなユフィを守り、補佐し、時に彼女の意志を叶える剣となることだ。その為にシュナイゼルの部隊から幾人かの人間がスザクの補助として特別に派遣されている。
 だが、開戦に対する意見の対立は別として、ユフィがコーネリア総督の下に就く副総督である以上、スザクも基本的にはコーネリアに従うことになる。その為、コーネリアとの関係を良好にすることが望ましい。
 また、ユフィはスザクを姉に認めて貰う好機だとも考えている様子だった。


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